乙訓医師会と懇談 12月18日 ウェブ会議 財務省データは経営実態と乖離 医療DX対応で負担増  PDF

 協会は乙訓医師会との懇談会を12月18日にウェブで開催し、地区から18人、協会から5人が出席した。乙訓医師会の繁本俊哉理事の司会で進行。下尾和敏会長から「国はコロナ禍で開業医はもうかっているとして診療報酬の削減を企んでいる。多くの会員が患者のために命を削るように頑張ってきた。とんでもない屁理屈だ」とあいさつがあった。鈴木理事長のあいさつの後、「社会保障制度をめぐる差し迫った課題―医療DX・保険証廃止・第8次医療計画等を中心に―」について意見交換した。
 診療報酬改定の議論が進む中、国は診療報酬は職員の賃上げに回す原資と言いながら、病院の医師やコメディカルの賃上げを想定し、診療所には厳しいものになると予想される。2024年は第8次医療計画や働き方改革が始まり、25年から新しい地域医療構想の下に医療提供体制の改変が行われる。
 これに対し地区からは「財務省が法人診療所と病院の収益率の比較を示したが、どのような根拠で診療所の収益率が8・8%増と言っているのか。コロナ禍での医療者の必死な働きが評価されず、診療報酬を削減、それも基本部分を下げるのはとんでもない」「平均値は偏差値と違い、非常に収入の高い医療機関が集まると値を上げてしまう。開業医の診療報酬が高いというのは恣意的な切り取りで信じがたい」「医療改革に関しては勉強しなければならない。財務省が突然マイナス改定と言い、蓋を開けると少しだけプラス改定となっても、我々は踊らされてはいけない。しっかりと理論武装しないといけない」との意見が寄せられた。協会は「財務省のデータサンプルは多いが、診療所の45%程度にすぎない法人無床診療所のみのデータで、個人診療所のデータは反映されていない。個人診療所は少人数で規模が小さい。その意味で財務省のデータはかなりバイアスがかかっている」と応じた。
 さらに地区からは「医療DXは進めなければならないが、不満に思うのは医療機関にいろいろな設備負担を強いられることだ。国には必要な機器や通信環境も含めて支援をお願いしたい。補助金で一部負担軽減はあるが、保守などの費用負担がさらに加わり憤慨している」との意見も出された。協会は「医療DXやIT化は国の政策そのもので、医療機関が設備投資などを負担すべきものではない。国が医療DXを本当に必要とするならば、しっかり予算を付けるよう求めなければならない」とした。

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