協会は京都北・上京東部・京都市西陣医師会との懇談会を11月30日にウェブ会議で開催し、3地区から役員6人、協会から7人が出席した。京都北医師会の小仲良平会長の司会で開会。西陣医師会の田中誠会長から「医療がさまざまな難題を抱える中、地区医師会と協会が協調して訴えるべきは訴え実現していくことが重要だ」とあいさつがあった。続く鈴木理事長のあいさつの後、社会保障制度をめぐる差し迫った課題について情報提供を行った。
地区から、政府の医療DX推進の手法があまりに乱暴であり、24年秋までに全ての人がマイナンバーカードへの保険証紐づけに対応することは到底無理で、官僚の想像力の欠如と言わざるを得ない。診療報酬改定の議論においても、コロナ禍で過去最低の利益率であった20年からの比較でもって、現在は高水準の利益率として診療報酬を下げるべきとする財務省の主張は全く認められない。あまりにも恣意的なデータで言語道断である。診療報酬の単価引き下げ、医師多数区域と少数区域で診療報酬の単価の変更などが提案されているが、これは国民皆保険制度の根幹に関わる問題だなどの意見が寄せられた。
協会は従来から紙の保険証とマイナンバーカードの併存を訴えており、現在紙の保険証の廃止延期を求めて国会議員への働きかけや、国会内集会で理解と共感を広げる取組みを展開している。この間、申請方式とされていた資格確認書を一律発行へ、有効期間も1年から5年へと見直しが行われた。これは世論を受けてのことで、運動がまったく響かないということではない。継続して取組みを行っていきたいとした。
診療報酬改定に関しては、地区からの指摘通り恣意的なデータを根拠に診療報酬を下げるとの議論は到底容認できないとし、11月22日に総理大臣宛てに行った緊急要望の内容を紹介。地域別診療報酬単価は皆保険制度の根幹部分に関わるものであり、へき地などは単価を上げ、都市部は単価を下げるとなれば、そのまま患者負担にも跳ね返る。単価の低い地域に患者が集中しかねず、地方の過疎化を促進するだけだと指摘した。
かかりつけ医制度をめぐっては、諮問委員会が立ち上がったところで、制度をどのように設計するのか議論が開始されたばかりにもかかわらず、点数や加算などで制度の外堀を埋めようとしている。既成事実を作り、その既定路線で制度設計することになりかねないと危機感を示した。いずれの課題も国の強硬策を阻止するためには会員の協力が不可欠で、医療者が一丸となって運動を進めていきたいと述べた。
最後に、上京東部医師会の飯田明男会長から「政府の横暴を医療機関の味方である協会が食い止めてほしい。特に保険証廃止は日常診療に与える影響が甚大だ。地区医師会と協会が一致団結していきたい」とあいさつがあった。
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