粉末化した稲は美味しく食べられるか 和田 松太郎(綴喜)  PDF

 老後とは年を取ってから後ということだが、人さまざまで私の場合卒後60年までを現役、その後を老役と思っている。
 それでは今後どうすればよいか。古代中国の思想家・荀子の言葉に、“美意延年”がある。心を楽しませれば長生きする意味で、旅行なり研究なり料理なり何でも楽しく好きなことをやっていけばよい。まずは旅行。さっそく息子のドライブで淡路島の温泉に向かった。明石海峡大橋を渡って左折、淡路の街を通り抜けたら温泉街。神戸、大阪が一望できるなんて人生前半を大阪に育ちながら、知らなかった私には望外のプレゼントだった。
 淡路島は人口10万人以上、遠くに山々が重なり、田畑が広がり、立派な銀行や商店も立ち並び、3階建ての頑丈そうな新築が目立ち、大地震や津波に備えられているように思われた。
 旅館「天原」に着いて間もなく、グラグラと強い揺れを感じた。まさにびっくり仰天。紀伊水道震源の震度3の地震。人生いつ何が起こるか分かったものじゃない。翌日イルカの大群が神戸港に来たそうだ。
 最近、我が人生でいったい何をやってきたか気になることがある。研究らしきことは学位取得の時だけで、その後は何一つやっていないことに気づいた。世界は不穏な状態が続き、食糧難が起こっている。そこで日本の稲全体を粉末にして提供できないかと考えている。米粉だけだと熱損傷が起き、品質低下を招くため、水処理が必要でコストが非常に高くつく。最近コーヒーグラインダーを買ったりして、稲全体、茎や籾のまま粉末化できないか、味も含めいろいろテストしている。

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