京都での雑感 高齢者の左心耳閉鎖術「WATCHMAN」の安全性とオーバーツーリズム 石田 博(右京)  PDF

 高齢化社会が問題化されて、実質的な解決策は得られず、元気な高齢者は働きなさいという風潮が蔓延している。85歳以上の心房細動高齢者にも、経皮的左心耳閉鎖術は安全性と有効性が高いと示唆されている。2023年9月に開催された第71回日本心臓病学会学術集会で富山大学の発表では、手技関連の合併症はなく、術後1年には9割以上の患者で抗凝固療法を中止できたとのことである。
 DOAC(直接経口抗凝固薬)はワーファリンよりリスク・ベネフィットバランスは良好といわれても、いざ大出血を起こした患者を実際に診療する側としては辛いものがあると思う。
 リウマチ・膠原病患者も高齢化して、不整脈の合併症は増加している。従前はアブレーションを多くお願いしてきたが、失敗すると完全房室ブロックとなり、ペースメーカー装着となり、気軽に頼めない実情がある。そのような状況で、85歳以上の高齢者にも、左心耳閉鎖デバイス「WATCHMAN」による経皮的左心耳閉鎖術は安全性と有効性が高いことが示唆されたのは朗報である。
 京都は、コロナ後に空前の観光客によってオーバーツーリズムが問題化している。それを問題視している意図的デ・マーケティングに代表される民間・地域住民主導である「WATCH MAN」は機能するのか、興味深く見守っている。
 せめて京都の生活環境が、意図的デ・マーケティングが抗凝固剤ワーファリンを超える、ベネフィット効果や効用があればと切望している。あるアンケート調査で「京都市はもう観光客を受け入れることができない」と回答した京都市民の内70%以上が「分散化が図られれば、京都市はもっと観光客を受け入れることができる」としている。現在観光地が局所的に集中し大混雑が発生していることを、大きな問題と捉えている市民の意識が反映されることを望んでやまない。

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