乗り鉄ドクの趣楽悠遊 vol.11 村上 匡孝(綴喜)  PDF

36ぷらす3 緑の路 (JR九州)
ななつ星のええとこどりの味な旅、九州のノリノリ鉄 前編

 観光列車の宝庫、JR九州で新顔「36ぷらす3」が登場。名前の由来は、九州が世界で36番目の大きさの島である36と、「乗客」「クルー」「地元の人々」の三位一体の3だそうです。新幹線の登場で働く場が減った在来線特急つばめの785系電車をリノベートした豪華な観光列車。土曜日は宮崎から別府まで、日曜日は大分から博多まで…と1週間で九州を一周するように運行されています。デザインは多くの観光列車を手掛ける名匠・水戸岡鋭治氏。外壁の塗装やエンブレム、木をふんだんに用いた内装、細工された窓や壁、大川組子の使用、洗練された絵や調度品、映り込みを計算した壁のファンタジーなど、我が国のクルーズトレインのレジェンド「ななつ星」の技と完熟した趣のええとこどりをしています。
 豪華クルーズトレインには時間も財布もちょっと…という方も、その日だけその区間だけをチョイスしてチョイっとええとこ乗り、豪華クルーズトレインのええとこをアラカルトでつまみ乗りできるお薦め観光列車です。ななつ星のような(駅から豪華バスで巡る)エクスカーションはないですが、いくつかの停車駅「おもてなし駅」での地元の郷土芸能や地域の名産品の直売や、めったにない秘境駅の探勝など、“ここだけ、これだけ、あなただけ”の推し鉄です。食堂車がないので、昼食は前もって豪華弁当を頼むか、ビュッフェで「黒い鶏カレー」や「五島手延べうどん」などの名物を賞味しましょう。焼酎も数多く、清酒も果実ドリンクもスイーツもスナックも、九州オリジナルの逸品が売店に用意されており、客室でも贅沢なダイニングカーでも楽しめます。定員があるため予約が要りますが参加型イベントも企画され、鉄道旅の趣が濃縮された素晴らしい観光列車です。
 さあ出発。朝のフライトで宮崎ブーゲンビリア空港に降り立つと、宮崎空港駅のホームには黒光りの車体がすでに入線していました(写真1、2)。ノリ乗り鉄(写真3)の推し地酒、山やま翡せ翠み(米焼酎、宮崎)と神田じんでん(純米酒、熊本)
 (36ぷらす3 緑の路 2023年9月乗)

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