コロナ禍となって4年近く、いまだに発熱外来でコロナ患者、インフルエンザ患者の診察に追われる日々だ。政府はワクチンの無料接種を24年3月で終了し、通常の感染症として終了したがっている。しかし、発熱外来で診てきたコロナ患者も待合室で待ってもらうのは、急なシフトチェンジであり難しい。これは医療従事者の心と体に刻まれたコロナ後遺症というべきものかもしれない。それほどコロナ禍は我々にとって、心と体の疲弊するショッキングな出来事であった。
政府はSARSやMARSといったプレパンデミックを経験したにもかかわらず、具体的なパンデミック対策を検討していなかった。グローバリズムを推進しインバウンドによる経済活動を活発化すれば、当然感染症も拡大しやすくなることは簡単に想像できた。政府の対応を見る限り、感染症対策は各国に比べると後回しにされていた感が否めない。各都道府県で感染症対策の中心となる基幹病院が人口規模に比べて少なく、病院との連携構築が各自治体に丸投げされ、パンデミック初期の感染患者入院受け入れ先の確保が困難な状況となった。京都市では保健所業務の合理化推進で各行政区にあった保健所の廃止と集約化のため、感染者の把握やワクチン接種などの感染症対策が出遅れた。
感染初期は医療現場には正しい情報が伝わらず、マスコミを通じて後出しで知らされるなど対応に苦慮した。極めつけは政府の情報発信が不十分で、診療所や病院は可能な限り感染患者を診ていたにもかかわらず、診療拒否の話題が取り上げられた。挙句の果ては発熱外来やワクチン接種をして補助金でもうかっていると発言する専門外のコメンテーターもいた。
パンデミック下の初動段階では基幹病院が中心となって対応し、感染拡大に伴って診療所と病院は連携して発熱外来やワクチン接種に対応、在宅医療が可能な診療所は在宅でのコロナ治療も病院と連携して対応してきた。
補助金による利益などは、対応に応ずる労働時間と人件費や感染対策費用を考えれば微々たるもので、コロナ禍で減少した診療報酬分の少しの補填になった程度だ。実際に補助金で大きな利益を得たのはワクチン会社と検査会社だけではないか。
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