鈴木形成外科小児科(東山区)は9月29日に個別接遇研修を開催。協会は講師に(株)JAPAN・SIQ協会の米谷徳恵氏を派遣。鈴木晴恵院長を含め12人が参加した。
米谷氏は、研修とは「共有の場」「視点を養う場」「自己成長の場」で、客観的に自分を観て、無意識の行動に気付き、意識することで行動を変容させるのが目的と述べた。その上でクリニックの診療理念に触れ、今回の研修はこの理念を具現化し、形に変えることが目標とした。
医療機関に限らず、顧客(患者)が期待するサービスと提供するサービスが釣り合うことは、日本では「当たり前」とされる。患者が期待を上回るサービスに感謝や信頼を感じると、リピーターになったり、周囲に口コミを広げたりするが、患者の期待に応えられないと、小さな不満が積もって苦情になり、クレームへ発展することもある。思いやりの気持ちを持ってサービスを提供しているつもりでも、上手く表現できていなければ患者には伝わらない。患者は五感でスタッフを評価する。その大部分を視覚と聴覚が占める。米谷氏は、身だしなみ・表情・態度(立ち居振る舞い)・言葉遣い・あいさつの5項目が思いやりの気持ちを表現するポイントとして解説した。
表情の練習では、参加者を2人ずつに分け、1人がお題に沿った表情をし、もう1人が何の表情か当てるゲームを実施。米谷氏は、患者の表情が分からないと、求めていることも分からないため、表情をする側だけでなく、当てる側のスキルも必要と述べた。また、患者とアイコンタクトを取る時は、相手を見下げる・上目遣い・横目で見るなど「目だけで見る」のは威圧感を与えるため、必ず顔を相手に向けることが大切だとした。
「挨拶」の字は仏教用語の「一挨一拶」に由来し、相手より先に自分からするものだと説明。相手からあいさつをされて返すのは、あいさつではなく「返事」だと述べた。また、謝罪は相手の怒りの感情に対して行うことが大切だとした。
思いやりを伝える言葉遣いとして、例題を挙げながら接遇用語について解説。参加者はクッション言葉や言い換え、言い回しなどを身に着けようと、熱心にメモを取っていた。また、電話応対の第一声はクリニックの第一印象を決めるとした。
米谷氏は最後に「今回学んだことを自分自身で振り返り、何に気付いたか、どう思っているか(自分の価値観)を見つめること。その上で、接遇はチームでレベルを揃えなくてはならないので、自分がそのレベルに至っていないと感じたのであれば、スキルや価値観をどう高めていくか考えることが必要」とアドバイスした。