医界寸評  PDF

 街路樹のイチョウが色付き始めたと思ったらバッサリ剪定され、幹だけの姿を晒している。落ち葉の掃除もしない者がとお叱りを受けるかもしれないが、公園などの樹木でも強剪定したものを見かけ、寂しさを感じる。昔、イチョウの葉は油分が多いと、市電には線路に撒くための砂が用意してあったのを思い出す。その頃は落葉前に切っていなかったのであろう▼神宮外苑の再開発で樹木が伐採されると報じられ、著名な音楽家などが反対を表明し大きな話題になっている。風致地区の規制を緩和してまで、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)の指摘を無視してまで、することなのだろうか▼神戸では王子公園再整備計画で、一部を売却し大学のキャンパスを誘致するという。経済効果が年間116億円と言っているが、多くの樹木が伐採されるのであろう。平塚市の公園計画でも、海岸にある防砂目的に植えられている樹林帯の半分ほどの伐採が計画され、地元自治会などが反対の声を上げている。何でも金額に換算し評価するので、木々が生えているだけではお金にならないということなのか。一方で、二酸化炭素排出削減といいながら…▼寸評子の利用する駅にも、昔は桜などの木々があり、小さな池には金魚もいた。時代とともに駅も変わり木は一本もない。世知辛くなったものである。(門雀庵)

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