協会は11月9日の保団連の国会要請にあわせ、京都選出国会議員へ医療DX、保険証廃止撤回をめぐる要請を行った。吉中理事と事務局が、穀田恵二衆議院議員、井上哲士参議院議員、前原誠司衆議院議員、北神圭朗衆議院議員・秘書、福山哲郎参議院議員・秘書、倉林明子参議院議員・秘書の順に面談した。
協会はマイナ問題について、会員アンケートでは7割がトラブルありと回答し、利便性を感じていない現状を訴えた。紙の保険証を残すためにも、立憲民主党の延期法案が流れを変える契機になるのではと述べた。さらに、情報システム学会がシステムの問題性を指摘していることを紹介。医療での二次利用ばかりに目がいき、一次利用がおろそかになっていると指摘した。医療のデジタル化は進めるべきだが、データを集めればよいという考えではなく、何のためにデータを集めるのかという視点が抜けていると強調した。
日本労働組合総連合会は5%の賃上げを言っているが、医療機関は来春の診療報酬がマイナス改定では賃上げできない厳しい現状であると訴えた。防衛費を上げて、社会保障費を抑制しているのはアンバランスだとし、診療報酬を上げ、医療従事者の賃上げにつなげて経済を回していくことが重要だと述べた。
穀田議員は、マイナ保険証は利用率が低く、トラブル多発の現状があり、システムそのものに問題があると指摘した。協会のアンケート回答のトラブル事例は現場のリアルな声であり問題がよく分かると述べたことに対し、協会は保険証廃止撤回の取組みでの積極的な活用を求めた。
井上議員は、マイナ保険証がこれだけ大きな問題になり、来秋に紙の保険証を廃止すればとんでもないことになると危機感を示し、国会での大きな争点にしたいと述べた。国はマイナ推進の旗を降ろしていないが、声高に素晴らしいと言いにくくなっていると述べ、さらなる取り組みの必要性を確認した。PFAS問題は水俣病のように原因が特定されてからでは被害が拡大するとして、予防原則の重要性が示された。
前原議員は、国は来秋で保険証廃止と言わず、しっかり対応すべきだと見解を述べた。自治体担当者からも、マイナ総点検では漢字の種類や住所のハイフンや番地の違いの突き合わせが大変と聞いており、自治体の規模が大きければそれだけ時間がかかると指摘した。協会からは医療機関ではほとんどマイナ保険証が使われていない実態を強調し、拙速な医療DXは医療の充実につながらないと訴えた。