協会は9月28日、新型コロナウイルス感染症に対する検査・治療の公費負担、診療報酬・施設基準の特例継続を求め、厚生労働省にウェブで要請を行った。厚労省からの出席者は保険局医療課の上原氏、コロナ本部戦略班主査の荒田氏、医政局総務課の小林氏。要請は参院厚労委員の倉林明子議員に仲介いただいた。協会から福山副理事長、吉河・種田・植田・坂本理事が出席した。
厚労省回答「コロナ対応効率化で点数見直し」
協会からは、新型コロナの検査・治療の公費負担医療制度の復活、診療報酬上の特例と施設基準の特例の10月以降の継続、新型コロナ対応病床の現行の財政措置の継続を要請した。
福山副理事長からは、今も一般の外来患者と新型コロナ患者とは動線や時間を分けて対応しており、5類移行後もコロナ対応の時間と手間は変わらない現状を訴えた。厚労省は、点数の見直しにあたり、現場のヒアリングを実施した上で医療機関のコロナ業務が効率化された部分で行ったと説明。これに対し、福山副理事長からは、どの範囲にヒアリングをされたかは分からないが、一般の診療所では効率化とは程遠く、一人ひとりを丁寧に診察しているのが現実だとし、今後もコロナの脅威を見据えた10月以降のコロナ関連の公費継続を強く訴えた。協会事務局からは、診療報酬改定でも手術点数や処置点数などが効率化を理由に減点されていくことに対し、医療側からすれば、対応すればするほど点数が下がることになり納得できないと付け加えた。
吉河理事からは、「病院のような人員の多いところはコロナ対応に特化した人員配置や場所の設定ができるが、自院では一般外来が終わってから、食事を取る時間を後回しにして対応している。在宅でも今までと変わりなく防護道具を持参し、その場で着替えて、持ち帰って処分する手間は変わっていない。このような現状で今回の見直しがあったことは非常に残念だ」と述べた。植田理事からは「今、国が進めているのはコロナを特別扱いせず普段の病気と変わらずに診療していくことだと思うが、現状感染者が増えている中で、今後重症者が増え、かえって医療費が上がってしまうことにも配慮が必要ではないか」と指摘した。坂本理事からは、「開業医はコロナ重症患者を一般病棟へ送るために入院調整をするが、コロナ病床数が減り、重症者を送れる病院を探すのが大変になってきていることを懸念している」と述べた。
厚労省は、重症化リスクの高い患者が入院できる医療機関の確保、施設入所者に陽性者が発生した場合の集中的検査の実施への公費支援を継続しているとして、5類移行した現状で個々の検査の公費復活は難しいと回答。さらに、2024年4月以降は平時の医療体制に戻していく方針だと述べた。
倉林議員からは、医療逼迫によって救える命が救えないことが繰り返されてはいけない、医療を平時に戻す動きと実際に今起こっている感染拡大の関係性ははっきりしている。これらの議論抜きで進めていくことに違和感があると指摘した。
協会はコロナ特例の施設基準について、コロナ病床・病棟を復活するにも看護職員の退職で人員確保が困難な現状を紹介し、特例の継続を強く求めた。
協会からはこれらを踏まえ、あらためて10月以降のコロナ関連の公費継続を要請した。