「健康食品」は医薬品と異なり自己責任 ―――――食品安全委の脇医師が講演  PDF

 協会は環境対策の一環として食の安全問題講演会「健康食品のチェックポイントを知ろう! 安全な利用のために 」を8月26日にハイブリッドで開催。内閣府食品安全委員会委員の脇昌子医師が講演し、52人が参加した。
 脇氏は、私たちが口から摂取するものについて、「飲料水」「食品」「医薬品」などに分類され、それぞれ異なる法律で管理されていることを解説。この「食品」の中に、「保健機能食品」やいわゆる「健康食品」がある。
 健康増進法に基づいて機能性などを表示できる「保健機能食品」には、 特定保健用食品(トクホ) 栄養機能食品 機能性表示食品がある。 は有効性と安全性を国が審査して個別に表示を許可するが、政府の規制緩和で2015年に加わった は根拠になる情報を国へ届け出るだけで表示許可が得られるため、 が増える一方で の申請がほとんどなくなってきた。 はミネラルやビタミンなど特定の栄養成分を表示できるもの。これに対して、サプリメントや栄養補助食品、自然食品などと称されるいわゆる「健康食品」は、法律には何も規定されておらず、機能性などを表示できない。
 「健康食品」が「医薬品」と異なるのは、成分量や品質は製造者の自主管理であり、摂るかどうかは消費者の自己選択、有害事象も有効性も消費者による自己評価となること。法的には食品なので、賠償責任も罰則もなく、自己責任であることが挙げられる。
 「健康食品」が原因と疑われる体調不良については、東京都調査で4%と報告があり、症状はアレルギー症状や消化器症状などが保健所に寄せられている。そのうち医師の診察を受けたのは16%とある。
 そもそも食品の安全性の考え方は、「ハザード(毒性)」と「曝露量(摂取量)」の掛算によって、毒なのか栄養に資するものになるのかが決まる。昔から食経験のあるものはある程度安全性が担保されているが、食経験のないもの(食品添加物、遺伝子組換え食品、環境からの汚染物質、放射線物質など)は、安全性の確保が必要となる。科学的根拠に基づき発生防止またはリスクを最小限にする枠組みの中で、リスク評価を担うのが食品安全委員会。リスク管理を担う消費者庁など関係省庁とやり取りし、国民や食品を作っている関係者にも内容を分かってもらうようリスクコミュニケーションを行っている。
 「健康食品」の安全性を見極めるポイントとして、▽「健康食品」は医薬品並みの品質管理がなされておらず、安全ということではない▽ビタミンやミネラルのサプリメントによる過剰摂取のリスクに注意▽「健康食品」は多くの場合「健康な成人」が対象で、高齢者、子ども、妊婦、病気の人が摂るには注意が必要▽医薬品と「健康食品」の併用は医師・薬剤師のアドバイスを受けること▽「健康食品」で体調が悪くなったときは、まず摂ることを中止し、因果関係を考える―などの注意点を示した。また、ウコンの過剰摂取による肝機能障害、β カロテンの長期摂取による喫煙者の肺がんリスク上昇、サプリメントでのカルシウム摂取による心筋梗塞や脳卒中の増加データなども紹介した。
 科学的根拠に基づかない「体験談」で、いかにも体に良さそうな広告が溢れている中、「期間限定」など購買心を煽るような売り方には問題があるとし、確かな情報を得ることが重要だとして左記のサイトなどを紹介した。
■国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
「健康食品」の安全性・有効性情報

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■食品安全委員会
「健康食品」に関する情報
https://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html
「健康食品」に関する危害情報
https://www.fsc.go.jp/kigai_jyoho/
■厚生労働省 いわゆる「健康食品」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/

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