現行の保険証を残せ国会請願署名のご協力を  PDF

理事長 鈴木 卓

 この度、全国保険医団体連合会が全国署名として提起した保険証廃止撤回を求める署名を会員各位に送付いたしました。会員の皆さまにおかれましてはぜひ窓口で患者さんに署名を訴えていただきますよう心からお願いするものです。
 健康保険証はいつでも・どこでも・誰でもが保険証1枚で必要な医療を必要なだけ、公的保険によって医療を保障する「国民皆保険制度」を体現するもので、憲法で保障された国民の権利でもあります。社会的地位や貧富の差に関係なく、全ての人たちに対し、無差別・平等に医療を保障する仕組みだからこそ、健康保険証は全ての人に確実に届けられなければなりません。しかし保険証に代わるマイナンバーカードの保持はあくまでも任意であり本人の申請に基づくものです。新たに制度化される「資格確認書」も同様です。しかし障害のある人たちや高齢者の中にはマイナンバーカード取得自体が困難な方も多くいます。国民も、医療機関も誰一人として、医療保障から排除してはならず、その意味で「申請主義」と「無差別・平等」の社会保障制度は両立し得ません。岸田政権は批判をかわすためさまざまな弥縫策を打ち出していますが、この本質的問題は何ら解決しません。
 現在のところ、国は2024年秋の保険証廃止を撤回していません。会員の先生方は重々ご承知のようにオンライン資格確認をめぐっては目を覆うばかりのトラブルが連日発生しており、医療機関の多大な負担と患者さんの不安が増すばかりです。このようなトラブルは、「総点検」後も件数は減るとはいえゼロにすることはできないと専門家は指摘しています。そうした場合のトラブル回避・対処のためにも現在の保険証を残しておくことが必要です。
 国民皆保険制度は、保険医運動を立ち上げた私たちの先達たちが国民とともに生み出したものです。これを私たちの代で後退させてはなりません。全国の保険医の力を集め、必ず保険証廃止を止めさせるよう会員各位のご協力をお願いします。

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