主張 マイナンバーカード推進の流れ止まらず 個人の尊厳まで統制されてはならない  PDF

 ついに、オンライン資格確認が義務化され、保険証廃止が国会を通過してしまった。その頃から急にマイナンバーカード推進の流れが当然ものとして強くなったようにある。異常に思えるほどの圧力と宣伝ではなかろうか。これは国にとって施策上、何か不都合なことがあっても、どうしても通過させなければならない、何か国にとって、都合の良い制度ではないか。または、どうしようもない大きい外圧のせいではないか。本当に個人のためにつながるか、慎重に考えなければならない。
 国によって個人の尊厳まで統制されてはたまらない。個人の情報が付けられているICチップの解析でまったく裸にされかねない。個人資産などの個人の経済状態が筒抜けになる可能性もある。そこは政府を信じてやってみようとされているが、今までの経験上、個人の信用を裏切ることは当然あることで、危険な感じがする。
 政府に資産を管理されるゆえんはない。当初の利用規約をよくよく読むと、最終的にシステム利用者に全ての責任と同意を押し付けて、国は一切の責任は取らないと明記されていた。その後、「デジタル庁の故意または重過失による場合を除き」という説明が加わった。
 もはやここにきて反対しても遅いかもしれないが、今こそ、保険医協会が一団となって、多少の不都合ぐらいと目をつぶることなく、もう一度振り返ってみる必要がある。
 最近、テレビなどで、有名俳優を使って、マイナンバーカードの宣伝がやかましいほどである。メリットが保険証の代わりになるとか、これからオンライン診療が押し進められるが、その資格確認にマイナンバーカードが必須であるとか。当初、あると便利と宣伝されていたものが、ないと不便として事実上、強制化義務化の流れにある。
 ここまで手を変え品を変え、政府が宣伝するからには、きっと何か裏がありはしないかと、つい危惧してしまう。
 保険医協会はこの個人情報の漏洩から身を守る重要性と、今のままでは権利の保護を期待できないことを周知したい。国のために死ねと平気で国が国民に命じた歴史がある。それから70余年しか経っていない。この考えを蔑ろにするシステム。この風潮は残念ながら今も連綿と続いている。今、私たちは柔らかい精神を失ってはいないか。ほぼ決まっていても、駄目なものは駄目と言い切りたいものである。

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