インボイス制度において医療機関が取引の買い手側となる場合はどうか。
取引時に売り手に対してインボイスの発行を求める必要があるのは、申告で消費税の「仕入れ税額控除」を使う課税事業者だ。医療機関の多くは免税事業者であり、仕入れ税額控除を使うことはないため、インボイスを求める必要はない。自費診療が1千万円を超える場合などに消費税の課税事業者となるが、5千万円を超えなければ「簡易課税方式」を選択できる。簡易課税方式の事業者は仕入れ税額控除ではなく「みなし仕入れ率」を適用することからインボイスを求める必要はない。
医療機関でインボイスを求める必要があるのは、課税売上が1千万円超で本則課税の事業者に限られる。医療機関で売り手からインボイスを受け取れなければ仕入れ税額控除を使えず、納税額が増えることになる。新型コロナウイルスワクチンの接種事業により、23年3月の確定申告時に消費税課税事業者として届け出た医療機関は多い。医療機関の課税方式が本則課税か簡易課税か、あるいは免税事業者なのか、今一度ご確認いただきたい。(了)
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