年経るごとに夏が暑い。では、昔の夏はましだったか。いやいや、今よりずっと暑かった。思えば、冷房機というものが身近にはなかったのです。陽が落ちて風が凪いだ頃の、あのどうしようもない暑さ。我ながらよく耐えたものでした。三条から五条までぎっしりと並んでいる納涼床は、夏の酷暑遺産という気がします。
鴨川の本流に沿って狭い側副路が流れていて、その水の中に納涼床の脚は涼しく立っています。床下は暗く、水鳥たちも来ています。どの座敷からも歓談の声が漏れていますが、納涼床の人々の恰好は意外にスマート。昔のヘトヘトの夕涼みでなく、おしゃれ。そうだ、皆、冷房機のある帳場や控室から、納涼床に出て来ているのだった。
令和時代の納涼床を描きました。
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