10月1日から「適格請求書保存方式(以下、インボイス制度)」が開始される。医療機関におけるインボイス制度をどう考えるべきかの留意点をまとめた(全3回)。なお、本稿は『大阪歯科保険医新聞』のコラム「経営の視点」を一部加筆・変更し掲載する。
制度開始時からの登録〈申請は9月30日まで〉
23年度税制改正の大綱で、インボイス制度について経過措置を設ける方針が示された(表)。インボイスとは、従来の請求書・領収書の様式に新たに「登録番号」と「税率ごとに区分した消費税額および適用税率」を記載したもの。
インボイスを発行するためには、納税地を所轄する税務署長に登録申請を行う必要がある。インボイス制度が開始される10月1日から登録を受けようとする事業者は、9月30日までに登録申請を行うこととなるが、制度開始日後であっても、登録申請の際に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から登録を受けることができる。
一方で、インボイス発行事業者になれば、売上高にかかわらず消費税の納税事業者となる。そのため、登録申請は慎重に判断する必要がある。
経過措置
●「2割特例」これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上額の2割に軽減(3年間)
●「少額特例」一定規模以下の事業者の行う少額(1万円)の取引につき、帳簿のみで仕入れ税額控除を可能とする事務負担軽減(6年間)