主張 事実上強制のマイナンバーカード政策 患者に必要な医療が保障される社会に  PDF

 ポイ活という言葉があるらしい。買い物などによって得られるポイントを集める活動だそうだ。できるだけ同じ系列の実店舗やネット通販で買い物をすると、そのポイントが効率良く集まるので、楽天経済圏、PayPay経済圏などという言葉も生まれている。系列店を増やすため、また利用者を増やすため、各経済圏はしのぎを削っている。
 6月16日に「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる骨太方針が閣議決定された。この骨太方針23にはデジタルトランスフォーメーション(DX)についても、いろいろ書き込まれている。マイナンバーカードは「ほぼ全国民に行きわたりつつある状況」と書かれているが、国家予算を使ったマイナポイントのばらまきで誘導し、健康保険証との一体化。果ては保険証廃止など事実上の強制を行った結果である。本当に便利なものであればそのような無理なことをしなくても、お買い物ポイントのように普及率は上がっていくものではないだろうか。きちんとした議論を行った上で義務化するのならまだしも、議論を回避して事実上の強制を行うのは為政者としていかがなものであろうか。
 一方、24年春に診療報酬等トリプル改定が予定されている社会保障関係費について、骨太方針23は次のように述べている。「次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」。原案では、「患者・利用者負担・保険料負担の抑制の必要性」となっていたものが「影響」という文言に修正され、「患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう」との一文が追加されるなど、医療費抑制の方針が明記されていたものを厚労省や医療団体の働きかけで表現上は押し返したことになる。
 まだまだ予断を許さないし、今後も政治の動向を注視して運動は行う必要があるが、厚労省は医療のことを一番理解しているはずである。今後も財務省の圧力に負けず、力を発揮してもらえればと期待している。

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