医療DXとかかりつけ医は環境整備と合意形成が必須 22年度地区懇アンケート  PDF

 2022年度の地区医師会との懇談会に併せてアンケートを実施。医療DXと「かかりつけ医制度化」をテーマに聞いた。22年10月から23年4月にかけて2220人に送付し、351人から回答を得た(回答率16%)。

医療DXは個人情報管理の透明性確保から

 国はオンライン資格確認を義務化し、現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に切り替えるなどデジタルトランスフォーメーション(DX)を医療分野で本格的に推進しようとしている。協会はこうした医療DXの狙いを、個人の医療情報を民間企業に利活用させ、「健康・医療のビジネス化」を加速させることによる「経済成長」と、国家による医療・健康情報把握により医療費抑制政策をさらに展開させる面があると指摘。デジタル化自体は否定しないものの、まずは個人情報の保護と第三者への情報提供については丁寧な説明による国民の合意形成が必要と考えている。
 そこで、「医療DXについてどう考えるか」を複数回答で聞いたところ、「集積する個人情報を何に利用し誰が監督するのか透明性を確保すべき」が75%で最多となった。次いで「企業利益の追求や社会保障給付抑制への利活用でなく、国民生活の利便性を発展させる観点が重要」が62%、「国民の機微な情報を守る体制構築を最優先にすべき」が60%の一方で、「国の思惑がどうであれデジタル化は早急に進める必要がある」は11%にとどまった(図1)。

かかりつけ医機能は医療保障の充実で

 「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」を含む全世代型社会保障法が5月12日に国会で成立した。今回、協会が危惧した「かかりつけ医制度化」にまでは踏み込まなかった。これに先立って「かかりつけ医機能」を発揮できる医療制度について、どう考えているかを複数回答で聞いた。
 最多は「かかりつけ医機能を自律的・自発的に発揮できる背景となる医療保障政策の充実」が64%であった。次いで、「構造改革により後退した保健所を含む自治体機能の回復。医療者と自治体が連携した地域保健の再構築」と「『かかりつけ医』としての活動を充分に支える診療報酬が必要」が52%で並んだ。「多職種が連携してチーム医療のできる体制、そのための報酬が位置付けられていること」が44%、「医学教育における社会保障、公衆衛生についての学びの保障」が23%と続いた(図2)。

図1 医療DXについてどう考えるか(複数回答)
図2 「かかりつけ医機能」を発揮できる医療制度(複数回答)

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