協会は4月18日、厚労省に「24年度診療報酬改定に向けた特定保険医療材料の価格設定に関する要望書」の提出および改善要請を実施した。同省の保険局医療課医療技術評価企画調整専門官・川島征一郎氏、医政局医薬産業振興・医療情報企画課流通指導官・大島雅和氏、八島知佑氏が対応した。要請は参院厚労委員の倉林明子議員に仲介いただいた。
協会には以前から「特定保険医療材料の購入価が保険償還価格(材料価格基準)を上回り、赤字になっている」「特定保険医療材料がパック購入のために、患者の死亡や容体変化で在庫となり処分することがある」との意見が寄せられていた。協会は府内在支診にアンケートを実施。多くの材料が赤字になっている実態が明らかになった。これらを踏まえ、厚労省に①国の責任で、小分け(1個単位)購入とその場合の材料価格基準以下の納入価での購入の保証②材料価格調査の対象を大規模医療法人や大型チェーン薬局だけでなく、一般の開業医にも広げ、実態把握に努めること③前年(1~12月)の購入価が材料価格基準を上回る場合、前年(1~12月)の購入価の届け出で、当年4月~次年3月までは前年購入単価で請求できる制度の検討―の3点を要望した。
保険局医療課は要望②について「調査では一般・歯科診療所、歯科技工所、保険薬局からもサンプルを抽出している。原材料の価格高騰や今回の意見を多角的に検討し、中医協に諮って検討を重ねたい。償還価格と市場とのズレは、価格調査に基づき2年に1回の改定で調整しているが、供給が著しく困難になる程に十分償還されていない材料は、企業からも意見聴取している。代替品がない材料は、価格見直しなども行っている。今回のご意見は貴重であるので、今後市場価格を注視し、償還価格に反映することを検討したい」と回答した。
小分け販売へ
流通改善を
回答を受けて協会は、各医療機関などの調査客体数状況、類型ごとの購入価の分布を把握しているか質問した。同課は「2021年度調査では、無作為抽出の一般診療所730客体、病院1150客体、薬局1000客体の調査をしている。調査方法は実態や今回の意見を踏まえ、必要があれば見直したい。購入客体の類型違いによる分布は把握していない。実態に即した形で聴取できるか議論したい」と回答した。これを受け協会は、在宅医療を担うことが多い一般診療所の客体数を増やした調査を要請した。
次に協会から要望①について「例えば創傷被覆材はコンスタントに使用するものではないが、一時的に重症の熱傷患者が来ると、集中して材料を購入せざるを得なくなる。治療期間の予測も難しく、最後に買ったパックの材料が多く残り、使用期限切れとなる場合がある。販売単位の柔軟な対応ができないか」と具体的事例を挙げて、廃棄の出ない取扱方法の検討、特に卸の段階で柔軟な対応ができるような働きかけを要請した。
医政局医薬産業振興・医療情報企画課から「メーカーの販売単位と卸の販売単位があるが、メーカーの販売単位が使用実態に合っていないのであれば、実態に即した販売単位にできないか、メーカーに相談することはできる。卸の段階で小分けする方法は薬機法上の包装表示の問題があり、1個単位の包装に薬機法上の必要な表示がなければ卸の段階で小分けできない。バラ売りできる包装形態にもかかわらず卸がまとめてしか売らない実態があれば、卸に対して少ない単位で販売するよう要請できる」と回答した。協会は、製造段階で包装の問題があるならば、解決するためにも、実態把握をお願いしたいと要請した。
要望③について保険局医療課からは「懸念事項は理解できるので、多角的に検討する」との回答であった。