保団連 健康保険証廃止の影響は甚大 施設でマイナカードの管理はできない(94%)  PDF

全国の福祉施設に影響調査を実施し、記者発表

調査期間:2023年3月24日~4月10日
調査対象:42都道府県の高齢者施設、介護施設など
送付件数・方法:8980件(ファクス5278、郵送3702)
回答方法:Google フォーム・ファクス
回 答 数:1219施設(有効回答数)
回 答 率:13・6%

 全国保険医団体連合会(保団連)は、健康保険証廃止が、要介護高齢者などのマイナンバー取得・利用・管理が困難な人に重大な影響をもたらしかねないとして、全国の高齢者・障害者施設に影響調査を実施した。この調査は、京都協会で調査・運動をしてきた「福祉施設の入所者が新型コロナに感染しても入院できずに留め置かれる問題」を参考に、関連団体と協力し実施したもの。保団連は調査結果を4月12日に関連団体とともに記者発表した。患者・家族の立場からは医療へのアクセスの困難、施設の立場からはマイナカードの管理に伴う対応の影響が大きいと報告した。
 以下、調査結果の一部を紹介する。
 回答した施設の84%が、現在利用者・入所者の健康保険証を管理している(図1)。健康保険証の廃止については、賛成が8%、反対が59%、どちらでもないが33%だった。利用者・入所者のマイナカード申請(代理)に対応できるか聞いたところ、93%が対応できないと回答し、対応できると回答したのはわずか7%だった。対応できない理由は、「本人の意思確認ができない」「手間労力がかかる」「本来の業務ではない」が多かった。さらに、利用者・入所者のマイナカードの管理(暗証番号を含む)について聞いたところ、管理できないと回答した施設は94%だった(図2)。管理できない理由は、「紛失時の責任が重い」「管理が困難」「不正利用や情報漏えいの懸念」が多かった。
 保険証廃止による利用者・入所者への影響としては、マイナカードの「取得・利用が困難な本人・家族の負担」「紛失・更新切れなどの対応」「紛失・盗難などでの施設とのトラブル」について危惧されることが伺えた。
 調査結果の詳細は、下記URLまたはQRコードより保団連ホームページでご確認いただける。
https://hodanren.docnet.or.jp/hokenshohaishi/chosa/

京都の施設から寄せられた意見
●現在は、健康保険証を預かり通院等の対応をしているが、今後マイナカードにいろいろな情報が紐付けられ、施設でのマイナカードの預かりや保管に支障をきたすと考えられる。
●マイナンバーカードのことが理解できないのに一方的に一緒にしてしまうことを進めるのはどうか。するかどうかは選択制にすべき。事業所でマイナンバーカードを保管するのは困難。
●対応困難な人がいる中で、政府の都合で一律にあらゆるものをマイナンバーカードで一括管理するのは乱暴すぎると思う。
●わからないことがあればコールセンターへ等と説明を受けるが、電話が集中した時はかからないのが現状で、健常者ですらうんざりする。国の施策とはいえ、世代を区切って長期的展望でやっていかないと、高齢者や障がい者へは、手続きや管理については、大変厳しいと思います。
●強制的に一律にマイナカードへ移行するのではなく、本人がどちらにするか選べるようにしてほしい。行政的には煩雑になって大変とは思うが、ぜひお願いしたい。

図1 利用者・入所者の健康保険証の管理
図2 利用者・入所者のマイナカードの管理(暗証番号含む)

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