協会は、ひろせ税理士法人・認定登録医業経営コンサルタントの常田幸男氏を講師に、医療法人講習会を2月16日に開催。8医療機関がウェブで参加した。
常田氏は医療法人制度について説明。?個人開設の医療機関は医師の引退などで地域の医療供給が失われてしまうが、医療法人は地域医療を永続的に安定供給できる?医療法人として資金を集積することで経営が安定し、医療の高度化が図れる―という二つの趣旨があるとした。また、医療法人が非営利でなければならないと言われるのは、配当禁止規定があるため、利益を配当せず医療の高度化に回すことになるという意味だと説明。配当禁止の範囲には医療法人理事長個人への社宅の賃貸や金銭の貸付なども含まれるので、注意が必要とした。その他、資金を増やす目的で、リスクのある投資運用や、本来業務と直接関連しない物品販売やサービス提供は認められないとのルールについて紹介した。
続いて、課税所得3千万円超が医療法人化のシミュレーションを開始すべきタイミングだとし、医療法人化を意識した時には、経済的なメリット・デメリットを比較検証してほしいと述べた。具体的には「法人税と所得税の税率差や所得の分散で、どれほどの節税効果があるか」「院長の自由なお金は少なくなるが、法人化以降の個人の資金繰りに問題はないか」「厚生年金保険料負担はどのくらいになるか」などの経済的なエビデンスをもとに、「感情的」な部分も含めて最終判断を、と説明した。
最後に具体的な手続きについて解説。医療法人の設立には都道府県による医療法人格の「認可」、保健所による診療所開設の「許可」、厚生局からの保険医療機関の「指定」などの各行政手続きや、銀行やテナント家主などとの密な連携が必要とした。
参加者からは「医療法人から個人開業に戻ることもできるか」と質問があり、常田氏は「法人として継続困難な場合は全く不可能ではないが、例えば医師の年齢や体調の理由で午前診のみ、かつ後継者がいない場合などとハードルは高いため、京都府と個別相談になる」と説明した。
MENU