協会は1月31日に経営対策セミナー「知っておきたい医院のための雇用管理」をウェブ併用で開催した。出席は12人。講師は桂好志郎社会保険労務士が務めた。
桂氏は「スタッフの定着」を主眼に雇用管理を解説した。現在の医療機関における人手不足は深刻で、募集してもなかなか来てもらえないとの声が多いと述べ、スタッフの最大の関心は「休暇の取りやすさ」と「労働時間の適正さ」と強調。年5日の年次有給休暇の取得義務化、労働時間の適正な把握など、相次ぐ法改正を職員の定着・採用にうまく活用することが大切と説明し、その事例を紹介した。スタッフを定着させるためには、安心して休みを申請・取得することができることや時間外労働・休憩時間のきっちりとした把握など職場環境を整えることが大切だとした。
また、人手不足が深刻化する中、看護師などを医療機関に紹介する有料職業紹介サービスが過熱。紹介手数料を狙い、医療機関にスタッフを紹介しても短期間で転職を促すなど、行き過ぎた転職勧奨を行う業者もいると注意喚起した。
続いて、桂氏のこれまでの相談経験から、スタッフ間のトラブル事例を紹介。苦情を訴えている側、訴えられている側双方の対話と、何がきっかけで不満を持つようになったかを探ることが重要とし、解決策の事例の紹介も交えながら解説した。22年4月からは、中小企業においても「職場におけるパワーハラスメント防止措置」の実施が義務化された。これを受け、医院規定を設けてパワハラは絶対に認めない姿勢をスタッフに示すことが重要と述べた。
また、随所で保団連発行の冊子『医院経営と雇用管理』の内容を紹介・解説。働きやすい環境を整え、無用なトラブルを避けるためにもぜひ活用してほしいと述べた。
医院経営と雇用管理
2022年11月29日発行
発行元 全国保険医団体連合会
1500円(送料込)