決議  PDF

 日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するものであり、前年7月の参議院選挙における1票の格差が最大3・03倍であったことから、投票価値の平等を保障した憲法に違反するとの高裁判決がなされた。「違憲状態」との判断を超えて「違憲」とされた。制度的・政治的・社会的には全て国民一人ひとりへのその平等な地位や権利状態の回復が求められ、1票の格差については、早急な是正措置が国会に求められる。
 中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症は、グローバリゼーションの波に乗って瞬く間に世界中に拡大した。今やオミクロン株BA・5型等の「第8波」期にある。公費医療の執行のみならず、世界に誇る我が国の医療制度として、医療法上、(1)自由開業(医)制、(2)非営利原則(配当禁止)があり、医療保険制度上は、(3)国民皆保険制度(4)フリーアクセス(5)現物支給制(6)出来高払い制(現在は主に外来診療)があって、本感染症蔓延時においても、感染拡大防止を阻害せぬようそれなりによく機能し、これを担ってきた保険医・医師の過酷とも言うべき診療労働による貢献が強調されよう。勿論、時間外労働の過剰から過労死が生ぜぬよう真の医師の働き方改革を要するものである。また、免疫学などによる科学的アプローチを含め、今後ともこれらの制度を良好に堅持する必要がある。
 国民の生存・安全の確保には、衣・食・住・水・空気のみならず安定した気候・環境の維持と気候崩壊による環境破壊の防止へと温室効果ガスの排出削減を要し、化石燃料の燃焼削減、建造物の戦争破壊などを防止する必要があり、環境に配慮した再生可能エネルギーの導入の促進に加え、戦争反対への叫びが必要である。
 そこで、京都府保険医協会会員あるいは同代議員である本日の第204回定時代議員会に出席した参加者は、同代議員会の名において、前文および以下に掲げる各項目を決議して、国への要求および国民への要請を表明して、以下のように決議する。
 一、国会は、衆議院および参議院選挙における1票の格差を早急に是正すること。
 一、日本の医療制度の原則に則り、保険でよりよい医療を実現する法的基盤を堅持すること。
 一、政府は、保険医療需給制度に混乱を招くオンライン資格確認義務化と保険証廃止を撤回すること。
 一、医療費抑制を主眼としたかかりつけ医「制度」の創設ではなく、真にかかりつけ医「機能」が発揮できる医療制度の構築を行うこと。
 一、医師の長時間労働の背景には絶対的医師不足があり、その養成・増員の問題を解消するための対策を講じること。
 一、国は、サイバーセキュリティ対策の一層の強化を図るとともに、全ての医療機関が対策を講じられるよう、公的支援制度を創設すること。
 一、化石燃料燃焼での発電からの早期離脱を図り、安全に運用できない原発の稼働を認めず、環境に配慮した再生可能エネルギーの導入を促進すること。
 一、戦争をする国への転換を容認する改憲を行わないこと。

2023年1月26日
京都府保険医協会
第204回定時代議員会

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