国は社会保障の「全世代型」化を進めるべく、高齢者に負担を求める流れを加速している。
後期高齢者の医療費窓口負担に「2割」負担が22年10月より導入され、約20%の加入者が負担増となった。さらに、75歳以上の保険料についても引き上げを検討している。
介護保険においても、負担増などが10月に論点として示された。しかし、相次ぐ負担増、給付削減に反対する意見が強く、22年末で決定できず、結論は先送りされた。
利用料2割・3割の対象拡大(今夏までに結論) 一定所得を超える65歳以上の保険料引き上げ(今夏までに結論) 施設多床室での室料徴収拡大(23年度中に結論) ケアプランの自己負担化(27年度改定までに結論) 要介護1、2の生活援助費を「総合事業」へ移行=保険外し(27年度改定までに結論) 被保険者の範囲を40歳未満に引き下げ(時期明示せず先送り) 施設入所時の食事・居住費負担軽減対象である低所得者の範囲縮小(時期明示せず先送り)―の7項目。
特に財務省は、「全世代型で持続可能な制度を構築」するためとして、「能力に応じた負担」を強調し、さらなる負担増を強く求めている。物価高で生活が苦しくなっている年金生活者も多くみられる中、医療や介護の負担増が生活に大きな影響を及ぼすことは避けられない。
一方で、岸田政権はGDP比2%を念頭に5年間で総額43兆円もの防衛費の大増額を決め、そのための増税も進めようとしている。23年度予算案は、防衛費捻出のために、国立病院機構、地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金約750億円が国庫返納を迫られ、看板政策の「子ども予算倍増」の財源議論が先送りされるなど社会保障にも大きな影響を及ぼしている。こうした状況について代議員会参加者の考えをきいた。
政府の高齢者負担増計画についての認知度については、「よく知っている」17%、「ある程度知っている」65%と合わせて82%が知っていると答えた。「よく知らない」は19%であった。
こうした負担増計画をどう考えるか(複数回答)については、「負担増が生活を脅かさないかの検証が前提として必要だ」が57%、「これ以上の負担増は受診抑制や介護の利用抑制につながり好ましくない」が46%、「負担増は制度の『持続可能』のため致し方ない」は17%であった(図1)。
防衛費の大増額を打ち出した政府の予算案をどう考えるか(複数回答)については、「防衛費増額は必要だが、そのために社会保障費を削るべきでない」が56%、「防衛費の増額は必要ない」が37%、「社会保障費を削ってでも防衛費増額は必要だ」は2%に過ぎなかった(図2)。
図1 負担増計画をどう考えるか(複数回答)
図2 政府の予算案をどう考えるか(複数回答)