協会は10月22日、2022年度第1回コミュニケーション委員会をネットで開催。地区委員19人、協会から11人が出席した。「コロナ禍を踏まえ、これからの医療制度はどうあるべきか(かかりつけ医制度、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)問題等)」「オンライン資格確認義務化と被保険者証廃止の動き」をテーマに意見交換を行った。オンライン資格確認、保険証廃止への懸念や、新型コロナを含む今後の医療制度の在り方に関して多岐にわたる意見が出された。
開会にあたり鈴木理事長は「協会は保険診療で良い医療と医業経営を守る姿勢で活動している。会員の声を基に政策をつくり、国に訴えていくことが重要。それが協会の活動の基となっている。本日の委員会も有意義な会としたい」とあいさつした。
国は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴い、現行の紙やプラスチックカードの健康保険証を2024年秋に廃止する方針を発表した。これに対し委員からは「停電やネットワーク障害などでマイナンバーカードが使用できない場合にどう対応するのか」「保険証が廃止されると不都合なことが多くあるのではないか。電子化の流れを止めることはできないが、対応できない人をフォローできる体制が必要だ」との意見が出された。
協会からは「オンライン資格確認や保険証廃止に関する疑問や懸念は会員からも多数聞いている。停電、震災などが起きた場合、保険証がまったく使えなくなる。国からは具体的な対応策が示されておらず、大変問題だ」と回答した。
新型コロナの分類変更は慎重な議論を
現在、新型コロナは感染症法上の2類相当とされており、5類への変更を求める声も出ている。委員からも「2類では効率が悪く、外来での診療時間がかかる。早く5類にしてほしい」との意見が出された。
協会からは「2類相当であれば治療費は公費で対応でき、公衆衛生学的には安易に外せないのではないかとの意見がある。国では、財務省の圧力が強く、医療費削減が前面に出ていることを危惧している」と述べた。
その他にも、国ではかかりつけ医の「制度化」に向けて議論されているが、厚生労働省から具体的な構想は示されていない。これに関して委員からは「かかりつけ医にはどんなメリットがあるのか。現時点でもある程度かかりつけ医が決まっているはず。あらためてかかりつけ医制度を設定する意味は何なのか。フリーアクセスは国民の権利だ」との意見が出された。
協会からは「かかりつけ医制度を考える時には、患者、医療従事者にとってのメリット・デメリットも考えなければならない。かかりつけ医機能を果たす場合に、看護師などの多職種での連携の必要性を提案することが肝要だ。会員各位のご意見をいただき、前向きな議論をしていきたい」と回答した。