保団連は11月10日、レセプト記載要領コード化の撤廃を求める厚生労働省要請を参議院会館内で実施した。厚労省の出席者は保険局医療課・上原主査、同・松木田主査。保団連からは山崎利彦理事、事務局8人、紹介議員・田村智子参院議員(日本共産党)の秘書1人が参加。京都協会からは事務局が参加し、京都でも生じている問題に対し改善を求めた。
事務作業の真の効率化を
最初に、医療機関の負担増防止等の観点から次期改定での記載要領コード化の撤廃を求めた。厚労省は「元々医療機関の事務作業の効率化を目指している。医療機関ごとの表記揺れ等がなくなり、審査の効率化で減点が減ることで、最終的には医療機関のレセプト点検回数が減り、事務負担の軽減に繋がると考えている。メーカーがコード化に対応していないために、医療機関に負担を強いている点は、今回示された事例を関係者と共有して改善を図りたい」と回答した。
次に、現状のレセプト「摘要」欄コードで、不要・無駄であり、医療機関に多大な負担を強いている記載項目①往診料、訪問診療料、在医総管の往診、訪問診療実施年月日の重複記載②傷病名、実施した検査名から明らかな「部位」の記載③審査支払機関の縦覧点検で確認可能な6カ月以内の検査、医学管理等の「前回算定(実施)日」の記載④当該月に算定し、かつ算定年月日の記載を求めた項目―の即時廃止を求めた。厚労省は「指摘はしっかり検討し、次期改定で見直せるものは見直したい。重複記載や入力日情報で分かるものであり、不要との指摘はもっともだ」と回答した。
山崎理事は「コード化の趣旨である『医療機関の事務作業の効率化』がメーカー、ベンダーへ十分周知されずに改定が実施されている。対応可能なシステムができるまで凍結してほしい。また、記載が不要・無駄と思われるコメント入力が多数存在しており、厚労省、保団連、メーカー、ベンダーで懇談して改善することを検討してほしい。昨年も検討すると回答があったが、これでは昨年の紹介議員への報告が反故されたことになる」と詰め寄った。
これに対して厚労省は「実際のレセコンの入力方法を確認したい。コードが増え続けているのは事実で、次回改定時にはスクラップ・アンド・ビルドで増やさない、もしくは微減できるよう可能な限り検討したい」と回答した。
「コード誤りで一律に査定しない」
京都協会からは、①在宅療養指導管理料(特に在宅自己注射指導管理料)の薬剤、特定保険医療材料を院外処方箋で投与した場合の「薬剤名・支給日数等の記載」が明確でなく混乱していること②在宅医療に用いる特定保険医療材料について、在宅医療以外、歯科、調剤薬局含めて4種のコードがあり、適切に選択できずに返戻が相次いでいるなどの実態を訴えた。
厚労省は「①については、紹介議員を通じて事前に照会があった。検討の時間がほしい」と回答。山崎理事は「10月診療分のレセプトはすでに提出しているが、新規のコード化に対応していないレセプトが大量に提出されている。改善要請の検討結果が出るまで、厚労省から基金本部・国保中央会、保険者に対して『減点・返戻はするな』と言って、9月診療分までと同じ審査をしてほしい」と改めて要請した。厚労省は「基金・国保に言えるか言えないかも含めて、持ち帰り検討する」と回答した。
この結果、11月16日、紹介議員事務所を通じて、厚労省医療課より保団連に対し「支払基金本部・国保中央会の双方に厚労省から要請を行い、10月診療分以降の請求につき、コードの誤りという点のみをもって、一律に返戻や査定等の対応を実施しない旨を確認した」との連絡があった。