政策部会部員
礒部 博子
6月18日、「高齢者・障害者施設におけるコロナ患者留置問題を考える」と題したミーティングの第1回が、京都の関連団体参集のもと行われました。
新型コロナウイルス感染症の第6波の特徴は、これまでと比べると、若い世代での新規感染者が多く、重症化率が低いにもかかわらず死亡率が高いというものでした。一見矛盾しているとも思えるこの特徴の裏には、施設における「留置問題」というものがありました。今後第7波に向けて、この問題を精査し問題点をあげ、改善に向けて具体的に話し合うべく、京都の社会福祉関連団体が呼びかけたのに対して、病院や診療所、特養、障害者施設の方々がウェブで参加。ゲストコメンテーターに佛教大学の新井康友氏を迎えて、活発な意見交換が行われました。
「留置問題」というのは高齢者・障害者施設でコロナ患者が発生した場合、入院時に介護が必要な人や認知症の人は入院の準備が十分に整わないという理由で入院拒否され、施設内に留め置かれた結果、施設内にクラスターが発生したり、コロナ患者の症状が急変したり、命を落とされる事態が多発した問題のことです。
ミーティングでは、数多くの事例が報告されました。協会の増田道彦監事も報告者の一人としてコロナ患者受入病院の実際の数字等を示しながら実態を報告されました。最も感染者の多かった2月の救急搬送件数は全体で827件、うちコロナが88件。コロナ陽性者(搬入後判明も含む)の搬入時心肺停止が9件で、施設からは3件だったとし、事例も紹介。施設の人たちからもコロナ陽性となった入所者の救急搬送を依頼しても入院先が見つからず、やっと搬送できた時には手遅れだった、生活の場としての施設でゾーニングがいかに難しいか―などが報告されました。
こうした報告を聞き、救えたはずの命を救えなかった関係者の苦悩や怒りがひしひしと伝わりました。そして、これらの問題点を解決するにはどうすればよいのか、ゲストコメンテーターを交えて話し合った後、解決の糸口とすべく声明文が採択されました。
求めた内容は以下の通りです。①高齢であることや障害のあること、施設入所者であることをもって、入院が受け入れられないような事態を引き起こさないこと②重症化リスクの高い高齢者や障害のある人が必要な入院に確実につながるようにすること③そのため、ほとんど稼働していない「臨時的医療施設」に医療職・介護職を確保し、フル稼働させること④介護が必要な高齢者、障害のある人たちのための療養施設の設置を検討すること。
国および京都府はこの声明文を真摯に受け止め、素早い対応をしてほしいものです。すでに始まっている第7波がまた大きな社会問題となる前に。