主張 日常診療の「安全」と「安心」 取り組み一層の充実目指し  PDF

 2021年度(21年6月~22年5月)も会員からさまざまな医療事故に関する報告・相談が寄せられた。
 21年度の主な特徴として、①医療事故報告件数は31件に留まった。20年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響も少なからずあってか20年度よりも増加したものの例年と比べて少なめとなった。②事故報告数の病診比率は、病院が診療所を若干上回った。③複数回の医事事故を報告する医療機関が数件あった。④解決率は、全事故報告の内98・1%が解決に至っており、依然として高水準を保っている―などが挙げられる。
 21年度は、京都の会員医療機関だけでなく、全国の保険医協会・医会の会員医療機関まで対象を広げ全3回の「医療安全講習会」を開催し、延べ700人を超す医師や医療従事者の方に参加いただいた。「いざ」という時に患者対応をはじめ医事紛争・医療事故に対して適切な対応ができるかどうかは、日々の研修の積み重ねが重要であると言っても過言でない。そういった観点からも多くの方に参加いただいたことは、我々としても医療安全の啓発に寄与でき、大変意義のある取り組みであった。
 協会は、1959年度より会員医療機関で起こったさまざまな医事紛争や医療事故の相談に対応してきた。そのノウハウを活かし、22年度も引き続き京都の会員医療機関のみならず、全国の保険医協会・医会の会員医療機関が日々の医療安全(紛争対応・紛争予防)に取り組む上で、参考となるような講習会等を企画し、日常診療における「安全」と「安心」を一層高めていただきたいと考えている。
 その他にも、医療安全対策の一層の推進を図ることを目的に、京都保険医新聞やホームページにて新型コロナ感染症対策に有用な情報の提供や、あるいは日々会員から寄せられる医療安全に関する問い合わせの中で特に対応に苦慮されている事案を厳選し、顧問弁護士の協力のもとQ&A形式で解説するなどの取り組みも行った。
 先述した通り、協会は半世紀以上も医療安全に取り組んできた全国的にもまれにみる医療団体である。その特性を活かしこれからも会員に有益となる医療安全に関する情報を発信し続けていきたい。

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