代議員月例アンケート リフィル処方箋について  PDF

実施時期=2022年5月19日~5月31日
対象者=代議員85人 回収数=30(回収率44%)

医療費削減ありきの導入に反対

 医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できる「リフィル処方箋」が、22年度診療報酬改定で導入された。21年末の鈴木財務相・後藤厚労相の大臣折衝で「再診の効率化」、つまり医療費の削減を狙い導入された制度で、0・1%(医療費470億円程度)の削減が見込まれている。
 これについて、代議員の意見を聞いた。
 年齢別クロス集計の報告は省略し、概要のみにとどめる。

(1)主に院内処方か、院外処方箋発行か
 主に院外処方(処方箋発行)の回答が60%、主に院内処方の回答が40%だった(図1)。なお、日本薬剤師会資料による20年2月時点の「処方箋受取率(医薬分業進捗状況)」を見ると、京都府は63%と推計されている。

(2)リフィル処方箋を発行したことがあるか
 「発行している」が3%(1人)、「患者からの求めがあれば発行を検討」が20%、「発行していない」が27%、「発行する気はない」が50%であった(図2)。

(3)患者から発行の希望や相談があったか
 「あった」が30%、「今のところない」が70%であった(図3)。

(4)発行の希望があった時、どのように対応したか
 (3)で「あった」との回答のうち、「全て発行している」が10%(1人)、「医学的判断で是々非々で発行」が40%、「断っている」が50%であった。なお、(3)で「今のところない」を選択しながら、(4)への回答が1人あり(図4)。

(5)「リフィル処方」についての考え(複数回答可)
 「リフィルでは健康状態の観察等が困難」70%、「リフィルでなくとも長期処方で十分」および「適切な処方箋管理を患者ができるか疑問」67%、「薬剤師に医学管理をさせるのはおかしい」47%、「減収につながるため導入には消極的」37%、「改竄が容易など処方箋書式に不安あり」30%、「最低でも月に1回の受診は必要」23%、「リフィル処方に適した患者がいない」20%、「医薬連携が不十分な現状では時期尚早」および「患者にとって利便性がある」13%、「症状が安定していれば特に問題ない」10%、「薬剤師が介入するため長期処方に比べれば安心感がある」7%であった(図5)。
 その他として「米国のように訴訟社会が推進される」「必要性を全く感じない」との意見が出された。
 「他院の状況次第で導入を検討」「外来の混雑緩和につながるため導入を検討」「医療費削減に資するため導入を検討」の選択はなかった。

(6)国に望むこと
 寄せられた意見を一部、紹介する。
 「言語道断」「医療費削減にリフィルを導入する必要はなく、患者の利便性のみを考慮して考えていくべき。医療費削減ありきの導入に反対」「医療費削減のため、患者の利便性を盾に医師の裁量権や国民の健康を侵す国の厚生行政に断固反対する」「患者との信頼関係を構築して処方しており、リフィル処方箋は患者の状態も診ずに患者任せになるため大変危険。他疾患の早期発見に多大な影響が出ることが懸念される」「従来、無診投薬を認めてこなかったのに、医療費削減のためとはいえおかしな施策だ」「総量規制の亡霊に取り憑かれている国の施策では真面まともな医薬・介護行政は不可能。リフィル処方のような弥縫策びほうさくでなく、そろそろ全行政を横断する抜本的改革を行ってはどうか」「財政制度分科会の中の『お薬受診を一掃し、医療の質を向上させる』という発言には、時間をかけて診療することのできない医療制度上の問題の棚上げであり、憤りを超えて悪意を感じる」「アクシデントが起こった時、責任を取らされることを考えれば、毎回自分の目で見て処方箋を出すべき」「『症状が悪化したのは薬剤師が適切に判断しなかったためだ』と患者が薬局を訴えるケースも起こり得る。そのあたりの対策はどうなっているのか」など批判的意見が出された。
 また、「リフィル処方箋自体の利点もあるので、運用と目的がゆがんでいることが最大の欠点」「中医協で議題してほしい」との意見も出された。
 なお、m3.com社の意識調査(5月17日付報道)によれば、リフィル処方箋導入の賛否について、開業医では「反対」が50%、「どちらかと言えば反対」が15%で、合わせて65%が反対している。
 政府は「骨太方針2022」で「リフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備を実現する」と表明したが、患者を医療から遠ざけるものになってはいけない。財務省主計局は「患者の利便性」「不要不急の通院を避けたい事情」「医師の働き方改革」などを理由に「導入ニーズは高まっている」と述べている(4月14日・財政制度等審議会財政制度分科会)が、一番大切なことは患者の命と健康である。リフィル処方箋の問題については、会員が直面している状況の把握に努め、必要あれば改善運動に取り組みたい。

図1 主に院外処方か、院内処方か
図2 リフィル処方箋の発行
図3 患者から発行の希望や相談
図4 発行の希望があった時の対応
図5 「リフィル処方」についての考え(複数回答)

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