協会は新型コロナウイルス感染症対策で第2次提言「感染症体制の見直しと保健所再生を」を11月30日に取りまとめた。これは第1次提言(1月26日)発表後の第4波、第5波がもたらした保健所と医療機関の逼迫や人々の生命・健康、生活上の危機を受け止め、医療保障を進める立場で、入院、宿泊施設療養、在宅での医療やワクチン接種などに取り組んだ現場の視点から提言したもの。
第4波、第5波がもたらした危機からは、大きく二つの課題が明らかとなった。一つは、現行感染症法が感染症に罹患した患者に対して「良質かつ適切な医療」の提供を謳っているにもかかわらず、実際には構築されていなかった「医療提供体制」の拡充。これについては、感染した人へ医療を保障する仕組みの構築のために必要なことを、早期発見・治療と感染防止対策、必要十分な病床確保、ワクチンと治療薬、医業経営の問題、それぞれの観点から詳述した。もう一つは、パンデミックの下でも人々の生活が継続できる公衆衛生・保健福祉行政のあり方についてである。これについては保健所機能の再生と地域コミュニティ再建を求めた。
提言は首相、厚労大臣、府知事、京都市長など関係先に送付した。全文は本紙付録として同封し、ホームページ上でも公開している。
京大シンポで増田監事が発表
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻が主催する「新しい感染症対策のあり方に関するシンポジウム」が11月18日にウェブで開催され、約500人が聴講。パネリストの一人として増田道彦協会監事が第2次提言を発表した。
日本医学会連合会長の門田守人氏が基調講演し、シンポジウムは増田氏のほか京都大学社会健康医学系専攻長の今中雄一氏、京都大学環境衛生学教授の西浦博氏が発言。最後に京都大学特別教授の本庶佑氏が、科学者としてきちんとしたメッセージを行政に発信し、行政をリードしていく責任があると締めくくった。司会は共催した公益社団法人京都保健会理事長の吉中丈志氏が務めた。
後援団体は、協会も含め京都府、京都市、日本医師会、日本医学会連合、日本病院会、日本看護協会、京都府病院協会など15団体。