本年最後の医界寸評である。今年は、新型コロナウイルス感染症の第3波の最中に始まり、その後第4波、第5波と繰り返し襲来し、新型コロナウイルスに振り回された年だった。その騒ぎの中で、1年延期された東京オリンピックが、無観客で開催された。その後、猛威を振るい医療の逼迫と言うより崩壊のような状況に追い込んだ第5波が、なぜか急速に収束した。この原稿を記している時点では感染の落ち着いた状態が継続しており、人出が増えるなどだいぶ緩んだ状況になっている▼21年は、太平洋戦争開戦80年の節目の年でもあった。それに関する報道なども種々あったが、希望的観測に従い種々の選択をした結果、真珠湾に至ってしまったということを忘れてはならない▼本年、総選挙もあった。人気の落ちた首相の首をすげ替えて与党が臨んだ選挙で、新型コロナウイルス感染症が落ち着いたことも重なり、与党勝利と言って良い結果となった。これは、公文書改竄も、官僚の政府に対する忖度も水に流して良いと有権者が選択したようにも取れる。コロナ禍で、もともと失われていた財政規律は無視され、借金まみれの状態がますます悪化している。後年、この選択が問われることになるのではないだろうか▼来年こそは良い選択をしたと後の世に言われる年でありますように。(門雀庵)
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