後発品の安定供給を国に要望 協会調査 院内・院外ともに影響甚大  PDF

 協会は11月22日、総理大臣、厚生労働政務三役、中医協会長および全委員、厚労省医薬・生活衛生局長等に対して「後発医薬品の安定供給に係る緊急要望書」を提出した。

品質管理や安定供給への対応求める

 要望項目は以下の4点。
 一、製薬企業の相次ぐ業務停止とこれに端を発する医薬品の出荷停止等について、単に製薬企業の問題とせず、国・政府として後発医薬品の使用促進政策の見直しを含めて議論すること。「23年度末までに後発医薬品の数量シェアを、全ての都道府県で80%以上」とする目標に拘泥せず、行き過ぎた後発医薬品の使用拡大政策を改めること。
 二、他剤混入による死亡例や健康被害等の患者への補償を十分行うとともに、組織的責任を追及すること。今後は保健衛生上の重大な危機の発生を防ぐため、国・政府として、後発医薬品の品質管理や安定供給に対する規制、指導、調査、監督を強化すること。
 三、やむを得ない処方内容の変更を迫られた事例や休薬に追い込まれた事例、およびそれらにより発生した健康被害等がないか、国・政府として患者、医療機関、保険薬局等への影響調査を行うこと。
 四、自然災害や今回のような相次ぐ出荷停止・調整が生じた際であっても、患者へ必要な医薬品が処方されるよう、保管等の体制を国・政府として整えること。

行き過ぎた後発品
使用促進政策の帰結

 21年2月9日に小林化工株式会社、3月5日に日医工株式会社、10月11日に長生堂製薬株式会社が業務停止処分を受けた。この影響を受けて、日本ジェネリック製薬協会に所属する会員会社が製造する後発医薬品について、11月24日現在2379品目の医薬品が供給調整品目とされている。
 これにより、臨床現場が大変な混乱に陥っていることが判明。協会代議員に対して緊急アンケートを9月に実施した結果、以下の通りとなった。対象87人中35人が回答。
 (1) 院内処方の医療機関で、納入がなくなった・減った医薬品は「ある」が86%。
 (2) 院外処方の医療機関で、薬局から在庫がない・少ないため調剤できない等と言われた医薬品は「ある」が94%となった。
 (3) (1)(2)で「ある」と回答した医療機関で、供給不足への対応でどのような影響が出たか質問したところ、①同効の他薬剤への切り替えに手間がかかる71%②先発医薬品になり患者負担が増加した39%③休薬せざるを得なくなった26%④他剤に切り替えたが、これまでと同じ効果が得られなかった10%⑤患者が後発医薬品を拒否した10%⑥他剤への切り替えにより、服用回数等の変更があり、飲み間違いが起こった7%。
 (4) 後発医薬品の供給不足の問題に対して国・厚生労働省が取るべき対応は、①単にメーカーの問題とせず、後発医薬品の使用促進の見直しを含めた議論が必要82%②後発医薬品の品質管理や安定供給に対する規制の強化が必要58%③患者、医療機関、薬局等への影響調査が必要24%―という結果となった。
 後発医薬品の使用割合は、05年9月に33%であったが、診療報酬・調剤報酬上の誘導政策等により、18年9月には73%を占めるまでとなった。

協会要請
「信頼の確保を」

 協会の改善要望では、国・政府の後発医薬品使用促進政策と、製造企業の競争の中で、国民・患者にとって「安心・安全な医薬品を供給する」という最も大事なことが疎かになっていったのではないか。国・政府の責任により、後発医薬品の品質および安定供給について、信頼性の確保に取り組むことが求められていると指摘した。
 文中の代議員アンケートの結果は10月27日付『日経メディカル』オンライン版で報道された。
 現在、ファクス登録された全会員に調査対象を拡大し、実態把握を行っている。その結果に基づき、再度改善を要請する予定。

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