保団連主催の第36回医療研究フォーラムが、岐阜県の長良川国際会議場・都ホテル岐阜長良川で9月19日・20日の2日間、開催された。コロナ禍で全国的に緊急事態宣言が繰り返し発令される中での計画・準備となった今年の医療研究フォーラムは、「生き生きと保険医が働くために~コロナ禍を乗り越えて~」のメインテーマで、オンライン配信での講演・シンポジウムと、オンデマンド方式の分科会・ポスターセッションが開催された。参加者は約300人。
19日は保団連の全国共同調査「開業医師・歯科医師の働き方・健康調査」の結果報告と、「超高額薬価対策としてのアカデミアの役割」をテーマとした名古屋大学名誉教授・名古屋小児がん基金理事長の小島勢二氏の記念講演、小島勢二氏と俳優の竹下景子氏の対談「すべての子どもたちに平等な医療と明るい未来を」が行われた。
20日は三つのシンポジウム「生き生きと働く工夫~夢と希望のある医療(医科)」「生き生きと働く工夫~夢と希望のある医療(歯科)」「コロナの先に見える日本」がそれぞれ行われた。
オンデマンド配信での報告となった分科会は、保団連の特設サイトにて、六つのテーマに分けて全国からの演題報告ビデオが公開された。京都協会からは、第2分科会「医科診療の研究と工夫」に、辻俊明理事が「眼科診療と消費税問題」の演題で報告を行った。
眼科診療は他の診療科と比べ多くの医療機器が必要だが、多くがハイテク機器で、高額かつ数年で更新しなくてはならず、医療機関にとってかなりの経済的負担である。また、手術材料は使い捨てのものが急増している上、高額化しており、白内障手術1件あたり税抜で約5万4千円の材料納入価がかかる。外保連の07年の調査では、医療点数のうち材料費が占める割合が水晶体再建術では59%であり、他の外科手術と比較しても高いことが分かる。
日本では保険診療は消費税が非課税とされる一方、材料や設備の購入では消費税を負担しているため、消費税分が医療機関の「持ち出し」になる損税(控除対象外消費税)が発生している。眼科は他科に比べ機器・材料が高額な分、より多くの損税負担を強いられていることになる。医療を免税取引としてゼロ税率を適用する、診療報酬に上乗せされている仕入税額相当額を仕入税額が上回った場合に超過額の還付を可能とするなど、控除対象外消費税による損失は解消に向けて取り組むべき喫緊の課題だ、と報告した。
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