2021年10月6日、ノーベル物理学賞がアメリカ・プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員を含む3人の「地球の気候と地球温暖化の予測に関する物理モデルへの貢献」に授与された。これは大気の対流などのデータをもとに、コンピューターで気温の変化を予測する気候変動モデルを世界で初めて作り上げ、それをもとに二酸化炭素の増減が気温に影響することなどを証明した。
地球温暖化は数十年前から指摘されてきたが、その検証には過去の気候データに加えて、人為的影響、すなわち世界の人々の行うさまざまな活動と気温上昇との科学的な信頼にたる予測が必要になる。真鍋氏はこの分野を開拓し、気候変動に関する政府間パネル報告などを通じて温暖化の知見、将来予測、二酸化炭素排出削減策など温暖化への対応の基盤を示した。
地球温暖化について、なお一部には否定的な見解もあるが、世界の潮流は温暖化を見据え、それが我々にもたらす状況・変化の予測とそれへの対策への議論が主流である。
日本でも、すでに気温の変化、降水量、海水位の変化、動植物への影響、市民生活への影響、詳しく述べると水害被害、都市環境・水環境の変化、冷暖房需要の変化に伴うエネルギー需要の変化、そして健康への影響などが報告されている。大都市、たとえば東京の場合、日中最高気温が30℃を超すと、熱中症患者が増加し始め、35℃を超すと急増。また、気温1℃の上昇で病原性大腸菌出血性腸炎の発症リスクが4・6%上昇するとされている。
世界の人々のあらゆる活動が地球温暖化に結びつくとすれば、将来に向けての我々の活動と、地球温暖化の関係をどう両立させていくのか、我々に課された大きな課題である。エネルギー浪費の定義が曖昧ではあるものの、少なくともそれは避けるべきであろう。まずは身近な生活の中での見直しが求められる。
MENU