コロナ禍に乗じた医療費抑制策は許さない
今もなお、有効な治療薬がない中で、私たちは新型コロナウイルスに立ち向かっている。もう1年半である。収束への一つの希望であるワクチンは、京都市では個別接種を中心に、それを補う集団接種が拡大されてきた。国も「打って打って打ちまくれ」と言うかのようにワクチン接種を進めていたが、ここにきて突然の供給不足。
国の無策なワクチン政策によって私たち医療従事者だけでなく、全ての国民が翻弄され、不安と不満が沸き起こった。そしてその矛先がワクチン接種を希望する全ての人に、迅速に安全に接種しようとしてきた医療機関に向けられた事例もある。
そのような中、再度感染拡大が起きている。この状況が続くと医療崩壊の危機がまた訪れる。補償のない自粛によって、すでに私たちの生活崩壊は始まっている。今の状況を生み出した根源は何か。それは、これまで進めてきた国の貧しい医療・福祉の政策である。それにもかかわらず国は今なお、コロナ以前の政策を変えることなく、粛々と進めようとしている。
医療法改定で見過ごせないのは、外来医療の機能分化の論議だ。入院医療における地域医療構想と同様の仕組みを外来医療についても創設しようとしている。健康保険法改定では、75歳以上の窓口負担の2倍化。コロナ禍に乗じて、何でもありは許すことはできない。
私たちが新型コロナウイルスに打ち勝つために必要なことは、これまで進められてきた国の医療提供体制や公衆衛生政策を転換させることである。それを実現させるための取り組みの強化が必要であり、「政治を変える」という信念が必要だ。
さて、今年の1月22日に核兵器禁止条約が発効された。核兵器廃絶に向けた歴史的に大きな動きである。このことは市民の地道な、そして長年にわたっての運動の成果だと確信する。今、コロナ禍において多くの市民運動が十分に行えない状況にある。しかし、反核平和、憲法問題、さらに原発等の課題にも、コロナ禍の今だからこそ、しっかり取り組んでいかなければならない。