協会は、5月26日に発生した宿泊療養施設入所者の死亡事例を重く受け止め、7月1日にすべての宿泊療養中の陽性患者に必要充分な医療が提供されるよう求める要請書を京都府に提出した。要請では京都府健康福祉部健康対策課課長の東原勲氏と同課感染症対策担当課長補佐兼係長の中川卓也氏が対応。協会から吉中丈志理事が出席した。
この事例で亡くなったのは60歳代男性で基礎疾患ありの方だった。5月20日より宿泊療養施設に入所したが、25日の午後10時過ぎを最後に連絡が途絶え、翌26日朝から再三にわたる連絡にも応答がなく、同日午後1時過ぎに、看護師が訪室し心肺停止状態の男性を発見した、という経過である。
6月8日の記者会見で京都府知事は、脈拍数とSpO2の数値を誤認識した事例と発表。これを受け、報道各紙は「看護師が酸素飽和度を読み間違え」との見出しで報道した。しかし、これら報道は看護師個人の資質が原因との誤った受け止めを生みだしかねず、ことの本質を見誤らせる危険なものである。
今回の事例が京都府と医療者に突き付ける課題は、マニュアルや具体的対応の改善にとどまらない。そもそも、2類感染症相当の感染症を受け入れる宿泊療養施設は、自宅療養と同様、感染症法で想定していない。原則は入院勧告・措置である。にもかかわらず、宿泊療養施設が必要なのは、国の配置基準に基づき準備してきた指定感染症病床が大きく不足し、一般病床で受け入れてもなお不足するという事態に直面したからに他ならない。
協会は、病床確保が厳しいとの認識に立つのであれば、少なくとも宿泊療養施設における医療の在り方を根本的に改善すべきと指摘し、▽宿泊療養施設に入所する陽性患者の医療が必要充分に行われるよう、医師の配置を強化すること▽チームで医療活動に従事できる体制を確立すること▽急変時等は現場医師の判断で、容体に応じた検査へのアクセス、往診、入院への切り替え等の必要な対応が臨機応変に行えるようにすること―などを求めた。
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