4月5日に高島俊男さんがお亡くなりになった。といってもご存じない方がほとんどだろう。中国文学者でありエッセイストでもある▼出会いは、B砲で有名な週刊誌の連載「お言葉ですが」であった。痛快な文章が楽しみであった。18巻の単行本に纏められておりすべて購入した。ネーミングも面白い。「イチレツランパン破裂して」「広辞苑の神話」、『本が好き、悪口言うのはもっと好き』『漱石の夏休み』『寝言も本のはなし』など。もちろん『水滸伝の世界』など中国関連の本も残されている▼「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」(僕寅年です)というが、3冊目の自己満足本を作った。日高敏隆著『人はどうして老いるのか 遺伝子のたくらみ』によると、人間が死後に残せるものは二つあるという。「遺伝子」と「ミーム(自己の複製)」である。「ミーム」というのは業績や作品や名声だ。まんまと罠にはまっている自分がいた。しかし、遺伝子は残さなくていいから、ミームだけは残したいということすらある。極端な場合には後世に名を残すためにあえて死も選ぶことがあるという。殉教やジハードがそれである。名を残したいという願望は人間以外の他の動物にはあり得ないという▼1950年5月22日生まれ、そんな気持ちが高まってきた。死後のことは自分には?だが。(玲奈)
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