コロナ禍の減収手当が引続き必要 専門医会長との懇談会を開催  PDF

 協会は専門医会長との懇談会を3月27日に開催。専門医会から13人、協会から9人が出席した。協会役員および保険審査通信検討委員の改選、2020年度審査に関するアンケート調査結果、20年改定に対する保団連要求について担当役員が説明を行い、各専門医会からは次期改定への要求、20年改定の不合理部分、協会活動への要望などについて意見を聞いた。

評価がない・著しく低い技術の早急な改善を

 小児科:初・再診料の引き上げが必要。4月からの5点加算は10月までとのことだが少しでも継続してもらいたい。乳幼児感染予防策加算100点も10月より50点となるが、こちらもできるだけ続けてほしい。患者さんが非常に減っており、是非とも支援が必要。また、高額な検査や慢性疾患の薬剤を小児科外来診療料の包括範囲から外してほしい。
 産婦人科:更年期障害特定疾患療養管理料加算の新設と特定疾患療養管理料の対象疾患に、高プロラクチン血症と早発閉経の追加を要望する。更年期症候群患者のうちホルモン補充療法で症状が改善しないケースでは不定愁訴を訴える方が少なくない。それらは、症状についての十分な聴取や治療についても再三にわたる丁寧な説明が必要であり、カウンセリングが必要となるケースもある。再診料だけでは経営が圧迫され、結果的に患者さんは締め出しされかねない。真摯に対応する医療機関を増やすために一定時間(例えば10分以上など)カウンセリングをした場合に加算できる管理料加算が必要だ。漢方外来など他科にも適応できれば良いと考える。
 眼科:1.小児眼科関連の診療報酬の増額
 斜視手術の報酬増額、小児に対する視機能検査料の増額。小児の視機能の管理や弱視治療に対する小児視力感受性期管理料(仮称)や小児弱視療養指導料(仮称)の新設
 2.VEGF(vascular endothelial growth factor)阻害剤硝子体注射薬の薬価の適正化
 3.コンタクトレンズ検査料(CL検査料)算定後の初診料算定制限の撤廃
 以上、要望する。
 耳鼻咽喉科:20年改定によりK463甲状腺悪性腫瘍手術が頸部外側区域郭清を伴うものと伴わないものに整理された。それに加えて、頸部外側区域郭清を伴うものについては、通則9の頸部郭清術併施の加算が算定できなくなった。これにより、実質的には2000点ないし3000点の点数引き下げとなってしまった。是非この取り扱いを見直して、頸部廓清術を併施する場合を正当に評価してもらいたい。
 皮膚科:皮膚科軟膏処置100?未満の復活は皮膚科医の念願だ。20年改定で、細菌顕微鏡検査に同一起因菌検索を目的とする場合は1カ所のみの算定とする規定が加わった。これにより真菌検査において足白癬、足爪白癬の2カ所を検査しても1カ所しか算定できなくなったので改善してほしい。
 泌尿器科:日本臨床泌尿器科医会からは、前立腺生検を外来で行う場合の増点を求めているが、そういった要望を提出する場合の技術提案書等においてかなり細かい内容を記載した上で提出しないといけない。保険医協会に提案する場合もそのような提案書が必要か。また、共同提案などができるとインパクトが強まるかと思うが、いかがか。
 精神科:他科との連携で多々情報提供する機会があるが、現状の制限では診療情報提供料が算定できないケースが多い。その中でも特に産業医との連携において診療情報提供を求められることが多く、適切に対応しているつもりだが、この情報提供には何ら診療報酬上の裏付けがない。20年改定において学校医への情報提供が新たに評価された。その意味では産業医への情報提供も評価されるべきである。
 消化器:内視鏡検査時の防護用品に係る費用を点数化してほしい。また、新型コロナのPCR検査や抗原検査を内視鏡検査前にできるよう認めてほしい。下水のPCR検査が感染状況の把握にかなり有効と言われている。そうすると大腸内視鏡も胃内視鏡のみならずリスクは高いと思われる。内視鏡検査は感染ハイリスクである。
 形成外科:①顔面の瘢痕拘縮形成術(K010の1)について、運動制限を伴わなくても算定できる区分を新設してほしい。②K217眼瞼内反症手術について、K219眼瞼下垂手術の1眼瞼挙筋前転法と同様の術式を下眼瞼に行うロウワー・アイリッド・リトラクター・アドバンスメント法という良い術式がある。これを、K219の1の7200点と同じ点数で新設してほしい。
 糖尿病:注入器用注射針加算を3カ月まとめて算定できるようにしてほしいというのが一つ。それから、在宅自己注射指導管理料について現在月28回以上750点、月27回以下650点の二区分となっているが、月の途中から導入する場合、同月内に実施する注射回数で判断され、たとえ1日2回3回注射していても、月27回以下とされるケースがある。実際には来月の受診日までの注射を指示するわけであり、理不尽である。よって、月28回以上を1日1回以上注射する場合、月27回以下をそれ以外の場合としてほしい。
 整形外科:1.消炎鎮痛等処置の増点(外来管理加算との整合性のため)
 2.テーピング固定の適応拡大(膝・足関節のみならず手指・足趾への適応拡大)
 3.他院撮影のコンピューター断層診断料を再診以降も算定可能に
 4.上腕骨近位部骨折に対する胸部固定帯固定・固定帯加算を算定可能に
 5.標準的算定日数を超えて継続してリハビリを行う患者で「患者の疾患・状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合」の対象疾患(別表第9の8の2)の緩和(頸髄損傷などで麻痺は改善しないが、リハビリを行わないと状態が悪化する場合など)
 ※整形外科医会は当日欠席で懇談会後、意見をいただいた。
 内科・外科・腎臓医会からは、特段追加の要望は示されなかった。
 協会は、泌尿器科医会の質問については、協会への要望時に技術要望書等は必要ないが、その背景について教えてもらえればありがたい。共同提案のお申し出は大変ありがたく是非連携しながら要望をまとめていきたい。各医会はそれぞれのルートで要望を出しているが、保団連・協会を含めて多方面から要求を行っていくことで、中医協・厚労省を動かしていきたいとして、引き続きの協力をお願いした。
 糖尿病医会は、審査において2型糖尿病に対する間歇スキャン式持続血糖測定器加算算定時にレセプト記載が求められている実態が報告された。協会においても実態を調べて、医会と相談しながら対応したいと述べた。
 耳鼻咽喉科専門医会からは、オンライン資格確認に対する協会の立場とコロナ禍での経営状況の悪化について意見があった。協会からは、オンライン資格確認は医療機関にとってほぼメリットがなくお勧めはしないこと。最終的には各先生の判断だが、判断に必要な情報提供はしっかりと行っていきたい。そして、コロナ禍の深刻な経営への影響については、コロナ前の診療実績を基に減収分を補填するよう厚労省に求めてきた。今年の収入低下分についても補填を求めて要求をしていきたいと述べた。
 最後に、各専門医会からの要望や意見は、保団連あるいは京都協会独自の要求に反映して実現につなげたいと述べ終了した。

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