続 私の閉院後生活3 野々下 靖子(乙訓)  PDF

簡易トイレは絶対必要!

 災害に備えて、柳谷観音の駐車場で決行することになった車中泊避難訓練ですが、今回はコロナ対策も考え、食事は各自が作ることとしました。実際に被災した状況に近づけるために、高価なキャンプ用品を使わず、100円均一のショップで買える用具や家にあるものを使って過ごす、という縛りも設けました。当日は北風が強く、冷え込んでいました。まずは車両の配置から防寒を考えようと昼過ぎに各車両の駐車場所を決定。中央に作業スペースとなる空間を設け、その周りを車のお尻を突き付ける格好で取り囲み、少しでも北風を避けようと対策を考えました。
 夕飯は日ごろ料理をしたことがない者も四苦八苦しながら挑戦です。ご飯がおかゆになったりする人もいましたが、おしゃれにパスタとワインなんて人もいました。定番のカレーもあれば、鍋の人もいたりと、皆で一つの料理を囲むことはできませんでしたが、趣向を凝らした料理を覗き合い、褒め合い、にぎやかで楽しい食事となりました。
 しかし、夕方以降、北風は強まる一方で真冬の寒さです。段ボールや新聞紙、防寒のアルミシートなどを窓に張ったり天井部分に被せたりと、それぞれが寝るための工夫を重ねました。私は窓に段ボール。室内も助手席、後部座席をフラットにして段ボールを置き、その上に少し厚手のラグを敷いてシュラフで寝ることにしました。段ボールの威力は絶大でほとんど寒さを感じずに一晩を過ごすことができました。しかし、中には寒くて眠れなかったという人もおり、何が違うかを確認したら、寝袋の下に何も敷かず、上から毛布をかけたということでした。実は、この車中泊訓練の話が出た時、ちょうどタイミングよく、私は車の買い替えを検討していました。ですので、座席を倒した際にフラットになる車を購入(ホンダN-VAN、マニュアル車)。座席がフラットにならない車の人たちはその点でも苦労したようです。
 一番問題だったのはトイレです。今回はお寺のトイレを借りましたが、災害時の車中泊避難でトイレが確保できるかどうかがわかりません。今回の訓練でトイレを用意している人もいましたが、私は用意していませんでした。簡易トイレは絶対に必要です。
 またちょっとした防災セットとともに、保険証、お薬手帳のコピーは車に入れておいてほしいところです。乙訓地域の人は、「在宅療養手帳」をぜひ入れておいて下さい。阪神淡路大震災での医療支援の際、薬を一杯持っていきましたが、避難者の方がどの薬を飲んでいるのかわからず結局処方することができませんでした。
 今回は避難訓練ですが、災害となれば不安を抱えながら何日も過ごすことになるでしょう。車は鉄の箱です。災害は時期を選びません。今回は厳冬期となりましたが、暑い時期には暑い時期の対処が必要でしょう。実際に体験することができた今回の訓練は日ごろの心構えも含め、気づくことの多いものとなりました。

ページの先頭へ