協会は1月28日、第200回定時代議員会を開き、20年度上半期活動報告と下半期重点方針、決議案を採択した。代議員70人(ウェブ65人、会場5人)、役員18人の出席で、飯田泰啓議長が進行した。提案は賛成多数で採択された。(関連2・3面)
上半期重点活動を総括
茨木和博副理事長から20年度上半期の活動を総括。新型コロナウイルス感染症を巡り、協会は20年6月、府内病院を対象に施設基準管理への影響調査を実施。厚労大臣らに、新型コロナの影響が少しでも考えられる施設基準は当該施設基準を満たしているとみなすこと等、4項目の要望を行った。これを受け、厚労省は8月に施設基準等の臨時的な取扱いについて対象となる保険医療機関の拡大等を示し、協会の要望が一部実現した。その他にも、全医療機関への損失補てんの公的財政支援要請、インフルエンザとの同時流行を見据えた公的発熱外来設置等を訴える第4次提言をとりまとめ発出した。
自治体に対しては、京都府に「新型コロナウイルス感染症とインフルエンザ同時流行に備えた診療・検査体制についての意見」を提出。
また、新型コロナに乗じたオンライン診療の拡大とオンライン資格確認の動きについて、本紙で誤診・遅診につながりかねない初診のオンライン化の原則解禁への動きに反対を表明した。その他に、20年度改定における不合理点の是正を求める要請や診療報酬請求書等の記載要領通知に関して一部訂正を求めたことなど、さまざまな活動に取り組んだことを報告した。
偏在対策での府の独自方針を評価
続いて、渡邉賢治副理事長が情勢を報告。新型コロナウイルス感染症の流行に歯止めがきかず、医療への逼迫が危機的状況まで高まった。風評被害も広がり、感染を恐れた患者の受診控えなど日常診療への影響も大きく、医療機関は深刻な経営危機に見舞われた。これに対して、医療機関には感染防止対策の支援交付金や医療従事者への慰労金はあるものの、協会も含めて医療界全体が強く要望している診療報酬の落ち込みに対する減収補てんはなされないまま、次の波への対応を迫られていると指摘。コロナ禍は社会の在り方を一変させただけではなく、医療費抑制を目的に「選択と集中」を迫る新自由主義改革で弱体化した医療体制の深刻な状況をあらわにしたと断じた。
求められているのは、危機に対応できる柔軟で余裕のある体制であり、それは決して「選択と集中」では実現できないものだと述べ、今回のコロナの教訓が次の体制の議論に活かされないようなことがあってはならないと強調した。
さらに、コロナ禍で新自由主義の破綻を認める論調が多く見られるようになった今こそ、地域医療を守り、この国に暮らす全ての人々が住み慣れた地域で安心して暮らす社会の実現を目指し、「社会保障基本法」に基づく新しい福祉国家に向けて運動を前進させていくべき時とした。
協会の下半期重点方針を確認
情勢報告に続けて、渡邉副理事長が下半期活動方針を提案。第73回定期総会方針を今後も踏襲するとし、新型コロナウイルス感染症への対応については、協会が出した第1次から第4次までの提言の実現に向け、より一層の政府の体制的・財政的支援を要請するとした。さらに、診療・検査医療機関を担う医療機関がより役割を発揮できるよう、試薬の確保・整備、抗原検査が陰性であっても医師の判断でPCRに確実につなぐことができる体制、情報共有の実現、G―MIS、HER―SYSへの入力簡素化の実現、公的発熱外来の設置の追求、行政と病院、医療界を挙げた病床確保策とその実現などを提案した。
また、協会がこれまで取り組んできた重要な医療・社会保障・平和の課題の推進にも言及。他の医療団体、患者団体、市民との協働を引き続き強めつつ、会員各位と一丸となって社会保障制度、国民皆保険制度を守り発展させ、そして医療機関の医療と経営を守る取り組みを進めていきたいと述べた。