産婦人科診療内容向上会が京都産婦人科医会、京都府保険医協会、持田製薬株式会社の共催で1月16日に京都市内のホテルで開催された。今年度はコロナの影響もあり、およそ半年遅れで、会場参加とウェブ参加のハイブリッド形式にて開催された。参加者は91人。冒頭、京都産婦人科医会理事で支払基金京都支部審査委員の井上卓也氏が「保険請求の留意事項と最近の審査事情」を解説。続いて、京都府立医科大学大学院女性生涯医科学教授の北脇城氏が「月経困難症診療のポイント~『婦人科特定疾患治療管理料』の収載をうけて~」を、医療法人田村秀子婦人科医院院長の田村秀子氏が「産婦人科生き残り戦略としての外来診療」を講演した。
産婦人科診療内容向上会レポート
井上先生からは、レセプト審査の基本的な仕組みとレセプト作成の留意事項について、非常にわかりやすくお話いただいた。
続いて、北脇先生の講演では、20年度の診療報酬改定において「婦人科特定疾患治療管理料」が保険収載され、その算定に必要な条件や留意点、器質性月経困難症に対する適正なホルモン療法等に係る研修、使用するホルモン製剤、またその管理料収載の意義ともたらす効果について、一つひとつ詳細に解説いただいた。算定には、診療録への記載を行うこと、病名は月経困難症のみでは不十分で、子宮内膜症や子宮筋腫などの病名の併記が必要であることをお話しいただいた。この管理料の導入が、企業、医師、患者の間の連携を強化し、すべてにとって全体のレベルアップをもたらす、さらにこのことが社会全体の疾患や治療に関する意識の向上をもたらし、女性のトータルヘルスケアの実践を推進し、月経困難症から解放された女性の活躍を加速するものと期待される、と力説された。
最後に、田村先生の講演では、医療経済実態調査結果よりみた産婦人科無床診療所の経営状況、婦人科外来患者層の問題点と対策(増収益の観点から・他科と比較して)、オンライン診療の収益性や有用性の実際について、お話しいただいた。婦人科外来の問題点は、①医師1人当たり診療可能人数が他科より少ない②他科に比し保険診療点数が低いものが多い③慢性疾患が少なく、数回の来院のみで終診となる④年齢層が限定的(10~55歳)である―などがあげられるとのことであった。月経困難症は実際に治療を受けているのはわずか10%といわれ、詳細な問診を行うことにより治療に結びつけられる症例は多く、また甲状腺機能低下症や脂質異常症などの慢性疾患は、婦人科においても管理加算が算定可能であることを教えていただいた。オンライン診療は、外来・入院・介護に続く第4の診療形態であり、「時代の潮流に乗り遅れないための羅針盤である」との言葉で締めくくられた。
いずれの講演も、我々が日常診療を行っていく上で、非常にためになる内容であった。特にオンライン診療においては、このコロナ禍にあっては患者・医療者双方にとってニーズが高く、遅かれ早かれ導入せざるを得ないものと思われた。(左京・髙井 浩志)