地域実態を無視した 医師偏在対策に不安の声 コミュニケーション委員会開く  PDF

 2019年度第1回コミュニケーション委員会を10月19日に開催した。京都府内の各地区医師会から14人、協会から8人が出席し、飯田代議員会議長の司会で進行した。
 冒頭に鈴木理事長から「コミュニケーション委員会は各地区医師会からのご意見を今後の協会活動に活かすとともに、各地区のお役に立ちたいとの思いで開催している。ご自身の医療現場のことなど、さまざまな意見交換をしていきたい」とあいさつ。その後、渡邉副理事長から「医師偏在対策とかかりつけ医登録制」をテーマに話題提供し、意見交換した。
 協会からかかりつけ医登録制の問題点として「医療費抑制が狙いであり、患者のフリーアクセス制限につながる。かかりつけ医の定義がしっかりしていない中で言葉だけが一人歩きしている。国は今後開業する医師に対して総合診療専門医のような機能を担ってもらいたいと考えているが、開業医は専門科を標榜している。開業する医師の考えと国の考えが全く一致していない」と指摘した。
 各委員からは「例えば内科の医師が眼科や皮膚科など専門外まで対応するのか。全ての診療科を網羅することは難しく、専門外までは診れない」「すでに診診・病診連携が上手く取れており、今さらかかりつけ医を決める必要があるのか」などの意見が出された。
 “かかりつけ医”や“総合診療専門医”などの言葉が混在する中、総合診療専門医研修プログラムを担当している委員からは「総合診療専門医は全ての診療科を診るわけではない。初期対応をしっかりできるように、慢性疾患や頻度の高いものを診るトレーニングをしている領域になる。眼科・耳鼻咽喉科の救急など地域のニーズも踏まえて、専門科と医師以外のスタッフと連携しながら幅広くやっている」と総合診療専門医の役割を述べた。
 医師偏在指標に関して、委員からは「働き方改革をやるとなると必要医師数はもっと増えるはずだ。国の試算とは全く違ってくるのではないか」「何を根拠にこの数字が出されているのか不透明であり、算出根拠を説明すべきだ」などの意見が出され、協会からは「働き方改革として病院で2交代制が導入されると、大病院に勤務医が集中し、さらに医師偏在が助長されるのではないかと懸念している。医師偏在指標は、検証するにも算出根拠となるものが分からないため検証できない」ことを問題視した。
 最後に、松本代議員会副議長から「一つひとつが解決困難な問題。京都府全体で見ると医師多数とされているが地区によって問題はさまざまだ。これをどうやって上手く調整していくのか。かかりつけ医も何か分からぬまま議論している現状がある。皆が合意できるような形にしてほしい」と会を締めくくった。

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