厚労省の地域医療構想に関するワーキンググループが、高度急性期や急性期病床を持つ公立・公的医療機関424病院(分析対象1455機関中29・1%)を、再編統合の対象として公表した。近接の類似医療機関に比べ、がん・心臓・脳卒中・救急・小児・周産期の診療実績が少ない等が選定基準である。
京都府は4病院。全国で再検証要請対象実数が多いのは、北海道54、新潟22、宮城19病院。割合が高いのは新潟53・7、北海道48・6、宮城47・5%などと続く。設置主体では市町村立527病院中43・6%。病床規模では50床未満の76・9%、50床~99床の82・7%が対象である。所在地二次医療圏人口規模で100万人以上圏は10・0%だが、他は30%前後である。北海道、東北など過疎、医師不足地域の、市町村立の小規模病院がもっぱら対象になっている。
公立病院・公的病院は公の議論に基づき必要とされ設立、公的性格のため民間の担わない機能をその地域で果たしてきた。統合されなくても、機能再編で高度急性期・急性期でないとされると収入減で存続できなくなる可能性が高い。
地域に必要な病院の再編統合が進むと、人口減少地域の医療過疎が進み、さらに過疎化が進む。厚労省はこのような調査をするのであれば、本来必要とされた病院が「不要」と判断されるようになったその原因を見極める必要がある。この政策は地方創生に逆行し、地方消滅になる。地方消滅はその地域の治山治水の軽視につながり、最近の異常気象でもわかるように都市部へも被害を及ぼすことになる。
少子化対策に失敗した国は、高齢化対策として高齢者の健康寿命を延伸し、医療・介護・福祉の利用を抑制、年金制度改変で、高齢者労働による経済活性化や納税を期待し、要介護状態に陥り終末期になった場合は、ACPに拘束され医療が介入しない速やかな死を希望する社会を作ろうとしている。
国は国民皆保険制度を守るための制度改革として、さまざまな政策を出している。国民皆保険制度を守るのは、国民の健康を守るためである。現在進められている制度改変は国民の健康は二の次にして、財政支出の抑制を主眼としている。
官僚は、東京生活での医療環境からの視点ではなく、地方で生活して、国民の健康を守るためには何が重要かよく考えてほしい。
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