協会も参加するTPP反対京都ネットは、日米貿易協定に抗する運動確認のため代表者会議を9月26日に開催した。おりしも25日(日本時間26日未明)に、安倍首相が「最終合意」を確認した文書に署名(正式署名は日本時間10月8日)。こうした情勢と運動の方向性について真嶋良孝氏(農民連副会長)が報告した。
真嶋氏は、トランプ政権に押し切られた日米貿易交渉の合意内容について、①日本は、農産物についてTPP水準の関税引き下げ・撤廃受け入れ②米国は、自動車についてTPP水準の関税引き下げ・撤廃受け入れを拒否③トランプ大統領は、自動車25%関税の撤回を拒否。今後も取引材料に④安倍首相は米国産余剰トウモロコシの「爆買い」受け入れ⑤安倍政権は秋の臨時国会で批准、米国は議会審議をパスして、年内成立をめざす⑥本当に「TPPが最大限」なのか、牛肉のセーフガード、米・小麦の特別枠、乳製品の輸入枠の扱いなどについは、秘密主義のために不明―との内容を報告。
交渉は2段階の仕掛けとなっており、早期の成果を求めるトランプ大統領の要求に応え第1段階は関税中心で、次なる第2段階は関税以外を全面的に取り上げることになるとした。
食の安全は切迫した課題
真嶋氏は、世界最低レベルで、かつ過去最低に落ち込んだ食料自給率のもと、輸入農産物の非安全性に対する抵抗力は極めて脆弱となっており、食の安全がさらに脅かされると強調。TPP協定は米国の要求で輸入食品の検査時間を半分にしたが、日米二国間の協定でも踏襲されることは必至。残留基準値以上の農薬が発見されても、すでに「消費者の腹の中」が実態で、これがさらに強まることになる。
さらに、日本でほとんど報道されていないが、トランプ大統領は遺伝子組み換え(GM)食品に対する規制撤廃の大統領令を公布(6月)。GM農作物と、それとセットで使用量が増えている発がん性のある農薬グリホサートに対する“過剰な規制”を米国内だけでなく海外でも撤廃することを期限を切って命じたもの。このような中で進められる日米交渉で、食の安全を軽視した圧力が強まることは必至と警鐘を鳴らした。
また、医療においても、公的医療保険制度を「社会主義だ」と忌み嫌うトランプ政権のもとで、日本の医療保険・薬価制度に対する攻撃はますます激しくなる恐れがあると指摘した。