淘汰という言葉がある。自然淘汰と社会淘汰。戦争は社会淘汰に属するのか。神様は存在するのだろうか？　強き者のみ生き残るということか▼我が国は社会的に淘汰されそうな弱者の救済事業も整備されていると思われてきたが、台風15号による千葉県の救済はなかなか進んでいない。ゴルフ練習場のポールが倒れたのは天災には違いないが、それによって破壊された家々に対してすべて天災と片づけられるのか。法律上は補償しなくてもよいと練習場側の弁護士が伝えたとされるが、多くの人々の納得が得られるだろうか。怪我をした人が1人だったのがせめてもの救いだったが、傷害に対してもその練習場がなければ起こり得なかったことなので、簡単にああそうでしたかとは言えないだろう。もしこれが補償なしで解決されるなら、今後このような施設の再生や新設に対して住民の賛成は得られない▼他の事業者も今後頭を抱える問題である。停電の長引く広範囲の被害により色々な一般人の日常生活や地方の企業の継続が困難になりつつあることも報道されてきた。台風被害を自然淘汰で片づけることは絶対できない▼災害や生命に対する淘汰に挑戦した科学や医学の進歩は目覚ましい。世界中の情報入手が容易になり、自然予測が確かになった現在、社会淘汰という言葉を淘汰しなくてはならない。（名）