ロシュ社器材の不具合で検査値が10%低下した可能性 自動分析装置用器材が成型不良  PDF

 19年9月、各検査委託会社から会員医療機関に対して、「エクルーシス試薬測定用器材の一部成型不良のお知らせ」が送付された。
 文書はロシュ・ダイアグノスティック社製「エクルーシス試薬」を用いる際に使用する自動分析装置用器材「エクルーシスアッセイカップ/チップG2」について、製造上の不具合がロシュ社から報告されたもの。同社によるとこれを使用して検査した「対象ロット全体の0・05%において、10%超の測定値が低下する可能性があり、詳細を調査中」であるとしている。
 対象は「エクルーシス試薬」を用いる検査で広範囲にわたる。ある会社が会員医療機関に示した資料によれば、18年11月から19年6月に委託された抗甲状腺ペルオキシダーゼ、抗サイログロブリン抗体、心筋トロポニンT、CA72-4、SCC抗原、NSE、19年2月から3月に委託されたテストステロン、NT-proBNP、18年10月から19年7月に委託されたPTH-INTACT、25(OH)D等があげられている。なお、「影響を受けた検査結果および期間の明確な特定は困難であるため、再測定を希望される場合は、担当者に申し付けてください」との注釈も書かれている。
 発生率は低いものだが、患者の生命・健康にかかわる重大な不具合であり、医事紛争へ発展する恐れも否定できない。
 会員におかれては委託した検査の結果に関して今回の不具合が関係していないかどうか、契約している検査委託会社から報告を受けていただきたい。仮に検査結果に影響の恐れがあった場合は、患者への説明が必要となり、場合によっては再検査する必要も生じると思われる。その際の検査代はもちろん、診察料、判断料も保険請求に馴染まないため、費用請求についても検査委託会社に相談していただきたい。
 協会は京都府内各検査委託会社およびロシュ社に対し、電話にて状況を聴取しているが、問題が全国に及ぶため保団連にも情報提供しつつ、引き続き情報収集や対応の検討を進める。
 もし問題があってお困りの場合は、協会にご相談いただきたい。

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