改正医療法・医師法(2018年7月成立)や医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会の第4次中間とりまとめ(19年3月22日)に基づく、医師偏在是正策が実際の地域医療に影響を与え始めている。
京都府において目下焦点となっているのは、国の示す医師偏在指標によって京都府全体が医師多数三次医療圏となり、なおかつ、丹後医療圏が医師少数区域から除外。京都・乙訓医療圏だけでなく、南丹・山城南医療圏までが医師多数区域とされたこと。そして、医師需給分科会が示した「将来の診療科ごとの必要医師数」に呼応するかのように日本専門医機構が示した都道府県別・診療科別シーリングにおいて、20年度にシーリング対象とされる13基本領域のうち、脳神経外科を除くすべての科でシーリングがかけられるという事態(表)についてである。
府、国へ要望
京都府は2019年度中に策定する医師確保計画と新専門医制度シーリングについて協議した9月6日の京都府医療対策協議会において、西脇隆俊知事と松井道宣京都府医療対策協議会座長の連名で6月28日、「医師確保計画に係る『医師偏在指標』および『新専門医制度シーリング』に対する要望」を厚生労働大臣宛に提出したことを報告。医師偏在指標については「指標を基に、医師確保の目標を設定することとされているが、そのためには、指標の信頼性・妥当性が理解され、目標が地域で納得されねばならない」と指摘。「都道府県で医師偏在指標を算定し、検証できるよう、速やかに必要なデータや計算過程のすべてを明らかにすること」等を求めている。
新専門医制度シーリングについては、「今回のシーリングが実施されれば府内の医師不足地域のみならず、府内の両大学が担っている他府県ヘの医師派遣も困難となるのが実情」と訴え、これまでの実績や他府県間の協議を重視するよう強く求めている。また、7月には全国知事会や近畿ブロック知事会も提言を出している。
その上で、医療対策協議会では医師確保計画について独自に「地理的条件(面積)、受療率等地域の実情を反映した指標を策定」する方向を示し、府における地域医療状況を踏まえたものとなることを目指す模様である。また、シーリング問題については地域医療の観点から、京都府知事から厚生労働相への意見書をあげる方向が示された。
医師偏在考えるフォーラム開催へ
協会としても引き続き、今回の京都府の姿勢を評価し、医師偏在是正をめぐる国政策への意見を発信し続ける。10月26日には、協会主催で「医師偏在解消」を考えるフォーラムを開催する予定だ。東北福祉大学の佐藤英仁准教授による「医師需給推計と医師偏在指標から医療提供体制を考える」と題した講演をはじめ、国の医師偏在是正策の問題点や京都府における医師確保計画・外来医療計画の策定状況を紹介するとともに、特に医師多数区域の地域実態を交流し、今後の取り組みに活かしたいと考えている。また、京都選出の国会議員に参加を呼びかけており、医師偏在問題をどうとらえるかを発言いただく予定。ぜひご参加いただきたい。(関連2面)