医界寸評  PDF

 参議院選挙では、「老後資金2千万」問題も消費増税もかみ合わぬ論戦で終わった。2千万問題より低年金者対策は喫緊の課題である。この選挙戦で野党の一部は年金額が基礎年金満額(月6・5万)以下の低年金者全員に一律月5千円(年6万円)の上乗せ給付を主張。与党も10月から消費増税の財源で低年金者に最高月5千円の給付を決めているが、年金額が低い人ほど少ない給付になる。与野党で協議して一律にできないものか▼与党は消費増税(8→10%)を財源に、低年金者給付金、低所得者の65歳以上の介護保険料の軽減等で1・1兆円充てる他に、本来、財政赤字削減に充てる予定の中から、幼児教育・高等教育無償化等に1・7兆円振り替えた。結局今回増税分5・6兆円のうち約半分は社会保障の充実に回るわけで、一定評価できる▼ついでに残りの半分(財政再建用)も全部野党の言う低年金者給付や高齢者の医療・介護の窓口負担軽減(総合合算制度も含め)に使えば、痛税感も老後の不安も和らぎ、預けた税が還ってくれば納得もできる。75歳以上の窓口2割化もささやかれているが、逆に70-74歳の窓口負担を2割から1割に戻すこともできる。消費増税の是非はおいて、少なくとも今回の増税分はすべてを社会保障に使うという議論を与野党で党派を超えてしてほしい。(彦)

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