要介護被保険者の外来維持期リハビリ 打ち切り撤廃に向けて  PDF

次期改定見据え影響調査実施へ

 協会は7月6日、(一社)京都府理学療法士会、(一社)京都府作業療法士会、(一社)京都府言語聴覚士会(以下、三士会)との懇談会を開催し、要介護被保険者の外来維持期リハビリ打ち切り後の状況の確認と次期診療報酬改定に向け意見交換した。

 懇談では、三士会と協会で共同して取り組んできた要介護被保険者の外来維持期リハビリ打ち切りを撤廃させる取り組みについて、昨年からの経過と結果を協会から報告した。理学療法士会からは19年5月に実施した「診療報酬改定に関するアンケート」等について報告があった。
 理学療法士会のアンケートでは、一部の医療機関において実際にリハビリが終了となった患者がいたこと、終了にあたって難渋したケースがあったことが明らかとなった。一方で、リハビリを継続しているとの記述意見もあった。これは状態の改善が期待できるとして、継続の理由等をレセプトにコメントした上で実施しているケースとなる。
 本来改善については、FIMやBIといった評価指標で客観的に示すことが求められるが、維持期に差し掛かってくるとそれが難しくなってくるため、暮らしの面や気持ちの面での改善の様子など工夫をしながら継続を模索しているとの意見があった。また、リハビリ以外にも透析などで通院の必要があるケースでも、リハビリだけを別の介護事業所で実施しなければならないことへの疑問が寄せられた。
 また、維持期リハビリ終了に際しては、打ち切り対象条件の複雑さもあって、継続の可能性があったケースでも、打ち切りとなってしまった事例があるのではないかとの意見もあった。
 リハビリを終了した患者さんについては、その後の動向があまりわかっていない。通所リハビリへ移行したケース、消炎鎮痛等処置に移行したケース、あるいは特に移行先がないケースなど、さまざまな経過が考えられるが、それぞれにおいて状態の維持ができているのかが非常に気になるところだ。維持期は介護保険でという厚労省の方針だが、例えば、通所リハビリでは個別リハビリに対する出来高の報酬がなく、加算を含めた報酬全体で見ても医療保険と同様のセラピストを配置できる水準にはない。また、小規模であっても送迎を実施しなければ報酬の減算があるなど、通所リハビリの算定要件・施設基準・報酬水準にもそれぞれ問題があり、通所リハビリの質・量の拡大を妨げている。
 そこで、次期診療報酬改定に対する要望作成も見据えて、脳血管疾患リハビリおよび運動器リハビリを届け出ている医療機関を対象に、維持期リハビリ打ち切り後の影響調査を実施することを確認した。併せて、打ち切り後の主な移行先である通所リハビリについても、現状の問題点や課題を明らかにするために、同事業所を対象に調査を行う。それぞれ8月下旬のアンケート用紙送付を予定しており、対象となった医療機関・事業所におかれては、是非ご協力をお願いしたい。

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