代議員月例アンケート118  PDF

投薬、後発品の質、薬局との対応等の問題について
実施期間:2019年4月12日~26日
対象者:代議員89人、回収数:31人(回収率:35%)

医療機関の調剤料引上げを

 ①生活保護患者に対する後発医薬品使用の原則化②実際の効能・効果に問題のある後発医薬品③調剤薬局からの依頼や連絡で困ったこと④消費税引き上げに伴う薬価改定⑤医療機関における調剤技術の評価―について代議員がどう考えるか、アンケートを実施した。

生保患者への後発品トラブルは 「なし」

 18年10月導入の生活保護患者への後発医薬品の使用の原則義務化について、トラブルは「なかった」が97%(30人)で「あった」との回答はなかった。
 ただし、1人から「説明を求められることがあり、煩雑だ」との意見が寄せられた。
 次に、最近の経験で「効能・効果・副作用に問題がある後発医薬品」の事例があれば教えてほしいと質問したところ、「PPIの効果が弱い」「先発品パリエットの利点(酵素感受性の問題)が発現されない」「ホクナリンテープの経皮吸収が違い、morning dipを防ぐ効果が薄い」「貼布剤全般について、かぶれ等の訴えがある」「ヒルドイドローションについて、使用感が違い、保湿効果も弱く感じる」「ロキソプロフェンNa60㎎は効きが悪い。効くのが遅い」などの意見が出された。

充分な知識ない調剤薬局も

 院外処方の場合、後発医薬品への切替、調剤方法の変更、残薬調整などで、調剤薬局から電話等による連絡が入ることがある。これら調剤薬局からの連絡で「困った」「対応を改善してほしい」と思うことを質問した。
 「困った」こととして「全く聞いたことがない薬に変更されている場合がある」「処方した薬剤の存在を知らない調剤薬局に説明するのに時間がかかった」「薬剤に関し充分な知識のない者が対応していることがある」との意見が寄せられた。
 また、「対応を改善してほしいこと」として「ステロイド外用について、FTU(finger tip unit)を指導しているのに『薄く塗りましょう』と説明するのはやめてほしい」「多忙な時の電話」「できればAGが良いので、どの後発品を使うか前もって相談してほしい」「取り扱っていない薬が多い薬局がある」「一般名で処方した場合、後発医薬品への変更調剤の報告がほとんどなかったため、地区医師会長に連絡した。地区の薬剤師会へ報告してもらうことになり、数日後地区の薬剤師会会長が訪れ『会員に周知し、報告漏れのないようにします』と言って帰られた。しかし、余り改善された様子はない」などの意見が寄せられた。

10月の薬価改定不安視する声も

 19年10月に消費税引上げに伴う薬価改定が実施される予定だ。院内処方の代議員に対して、10月薬価改定の不安、懸念な点を質問したところ、「ある」16%(5人)、「ない」6%(2人)、「分からない」48%(15人)であった。「ある」場合の内容としては、消費税引き上げ分に見合うような診療報酬引き上げとなるか不安視する意見が4人、納入価が高くなることを不安視する意見が2件あった。

院内の調剤料「評価を」 4割強

 現在、医科点数表と調剤薬局点数表では、上表のように調剤技術料の評価に大きな格差がある。これをどう思うか質問した。
 「医科点数表の調剤料の評価を調剤報酬の技術料並みに引き上げるべき」13%(4人)、「調剤報酬の技術料を引き下げ、医科点数表の調剤料の評価を引き上げるべき」45%(14人)、「役割が異なるので仕方がない」23%(7人)、「分からない」13%(4人)との結果だった。
 自由記述として、調剤医療費の急速な増大に関する記事(『MEDEICAL QOL』誌、19年5月号)の紹介や、「院外薬局に会社が参入できるのがそもそも問題だ」という意見が出される一方、「薬剤師は専門家であり『価値がない』から医薬分業をやめろではなく、価値があるように考えるべき」という意見も出された。
 以上の結果については、京都府薬剤師会と懇談した際に話題提供したいと考えている。また、医療機関における調剤技術料を引き上げるよう、厚労省・中医協に要望したい。

表 院内処方と院外処方の点数及び患者負担の比較

下記の処方での院外処方と院内処方で患者さんの負担の違いについて。合計での点数差。一包化を院外処方箋で指示したときの点数。
① アムロジピン 5mg 2T×1(朝)
② ベザフィブラート 200mg 1T×2(朝、夕)
③ レバミピド 100mg 1T×3(毎食後)
④ カロナール 500mg 1T×1(頓服)
①~③×28日分、④×20日分 → 261点

院内投薬 院外処方箋発行(調剤報酬)
薬剤情報提供料(手帳記載) 15点
調剤料「イ 内服薬等」 9点
処方料 42点
特定疾患処方管理加算2 66点
外来後発医薬品使用体制加算
1(85%以上)5点
2(75%以上)4点
3(70%以上)2点
調剤技術基本料(薬剤師が常勤)8点
計 132点(調基料あり140点)
(外後使あり134~137点、142~145点)
患者負担3割 396円(調基料あり420円)
(外後使あり400~410円、430~440円)

薬学管理料(手帳記載) 15点
調剤基本料1 41点
後発医薬品調剤体制加算
1(75%以上)18点
2(80%以上)22点
3(85%以上)26点
調剤料(1剤につき)
内服薬 78点×3 234点
頓服薬 21点
一包化加算 32点×4 128点
薬剤服用歴管理指導料 41点
(かかりつけ薬剤師指導料)(73点)
計 329~337点
+(一包化した場合)計 457~465点
 +(薬管)計 498~506点
 +(かかりつけ)計 530~538点
患者負担3割 990~1,010円
+(一包化した場合)計1,370~1,400円
 +(薬管)計1,490~1,520円
 +(かかりつけ)計1,590~1,610円

※一包化加算(2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化した場合、投与日数に応じ、①42日分以下の場合、投与日数が7又はその端数を増すごとに+32点、②43日分以上の場合、220点)
※薬剤服用歴管理指導料とかかりつけ薬剤師指導料は、どちらか一方の点数しか算定できない。
※院外処方箋発行の場合、医療機関側では処方箋料68点、特処加算66点(計134点。患者負担400円)を算定する。

ページの先頭へ